鳥谷先制三塁打!痛快8点爆勝でG粉砕
「巨人1‐8阪神」(18日、東京ド)
痛快とはこのことだ。阪神が、前夜8点を奪われた巨人に8得点でお返しし、勝率を5割に戻した。口火を切ったのは鳥谷敬内野手(31)。一回に先制の中越え三塁打を放ち、チームに勢いをもたらした。これで巨人との対戦成績は3勝2敗1分けの“貯金1”。追いかけるのは阪神しかいない。
ファンも、首脳陣も、そして選手も願った。大歓声をバックに長い間、空中をさまよい、センター後方へと伸びていった鳥谷の打球。3連敗は許されなかった。Gの独走を阻止したかった。越えてくれ‐。そんな虎の“執念”が乗り移った白球は、中堅・大田のグラブをかすめグラウンドに弾んだ。
西岡が生還すると、球場のうっ屈とした空気が一瞬で変わった。敵地にわき起こる虎党の大歓声。「チャンスだったので、ストライクゾーンを振っていこうと思っていた」。こうキャプテンが振り返った場面は、初回1死二塁だった。
カウント1ストライクからの2球目、143キロの直球をセンター後方へきれいにはじき返し、適時三塁打。「先制点を取れれば、何とか自分たちのペースで行けると思ったので」と鳥谷の一振りが連敗中の流れを変えた。
第2打席は2死から中前打で出塁。続くマートンの左越え1号2ランを誘発した。五回の第3打席は1死から中前打を放ち、今季初の猛打賞。続くマートンの4球目にスタートを切ると、主砲が鮮やかに右中間を破って、5点目のホームを踏んだ。
「トリが(西岡を)かえしたヒットが大きかった」と和田監督が言えば、水谷チーフ打撃コーチも「ウチの要はあそこ。本塁打が出る打線じゃないから。鳥谷がこれを何試合か続けてくれれば勢いが出る」と目を細める。
この巨人3連戦は1戦、2戦と無安打に終わった。西岡が出て中軸がかえす得点パターンが分断された。復調のきっかけを探していた試合前練習。解説のため東京ドームを訪れていたWBC日本代表・立浪打撃コーチから、ティー打撃中にアドバイスされた。
「悪い癖みたいなものが出てたんで、もっとシンプルに」と内容を明かした鳥谷。トップから最短距離でバットを出す‐。ここ2試合、左方向への打球が多くボールに差し込まれていた。「修正していたところ。自分でも分かってたんで」。悪い現状からの脱却を図った一振りが、チームの雰囲気をも変えた。
10試合ぶりの2桁12安打で快勝。昨季、東京ドームで1勝しかできなかっただけに「何とか1つ勝ちたかった」と力を込める。勝率を再び5割に戻し、首位とはまだ4・5差。主将が呼び込んだ白星は、間違いなく、1勝以上の価値がある。