福留サヨナラ満弾!娘に最高の誕生祝い
「阪神7‐3ヤクルト」(19日、甲子園)
じぇじぇじぇじぇ!阪神・福留孝介外野手(35)が延長十二回2死満塁に左翼ポールに直撃するサヨナラ満塁本塁打!NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」もビックリの劇弾だ!七回にも同点2号2ラン。虎ファンも思わず「じぇ!」と言わずにおれない頼りになる男。ホンマに勝負強いわ。
震えた。劇的すぎる幕切れに冷静な男が我を忘れた。高々と両手を突き上げ、ダイヤモンドを1周。本塁で待ち受けるナインの輪に飛び込むと、全身を心地よい刺激が駆け巡る。サヨナラ満塁本塁打。福留が阪神を救った。
お立ち台に上がっても高揚を隠せない。「えー、興奮しています。(ガッツポーズは)無意識です。自然と表現していました」。声が上ずり、早口になっていた。
延長十二回2死満塁。「何としても決めようと思った。気持ちだけでいった」。七條の外角高めの直球を捉えると、左翼方向へ舞い上がった打球はポールに直撃。3号満塁弾は、チームにとって96年のグレン以来のサヨナラ満塁弾。「ないと思う」と自身の野球人生で記憶にない劇弾だった。
七回1死三塁にはロマンからバックスクリーンへ同点2号2ラン。甲子園での今季7試合目で、全球団通じての初本塁打で、勢いに乗ったことも劇弾への伏線となった。
試合前には甲子園で25分の早出特打を行っていた。関川打撃コーチがタブレット型コンピューター「iPad」で撮影した映像でフォームを確認。復調への糸口を探し続けた。「コーチや裏方の方も疲れが取れる材料になってくれれば」と共闘してくれる仲間への感謝も忘れなかった。
何としても打ちたい、打たなければいけない日だった。この日は長女の桜楓(はるか)ちゃんの2歳の誕生日だった。自身は阪神入団以来、大阪市内でホテルに住んで単身赴任を続けている。節目の日を一緒に過ごせない心苦しさを振り払う愛娘へのバースデーアーチ。「まだ何も分からないだろうけどね」と話すが、ウイニングボールは名古屋の自宅に届ける。
打率・155。安打数11より打点15の方が多い。苦しい日は続くが、野球をできる喜びがある。
メジャーでは09年ア・リーグセーブ王の左腕、フェンテス(現在は引退)に3球連続でスライダーを狙って、3球連続で空振りを喫した。
「狙って当たらなかったのは(野球人生で)初めてだった」。夢を追って渡った米国で高いレベルを経験し、マイナーも味わい、向上心は一層強まった。阪神を救い、もう一度輝きたい。夜空に描いた2本の放物線は完全復活への号砲だ。