藤浪また0封星!聖地神話どこまでも
「阪神5-0ヤクルト」(21日、甲子園)
二度続けて負けるわけにはいかない。阪神・藤浪晋太郎投手(19)が、ヤクルト打線を7回2安打無失点に抑えて2勝目を挙げた。デビュー戦で黒星を喫した相手に、きっちりリベンジ。高校時代から無敗を誇る甲子園で、またも負けなかった。防御率はセ・リーグ3位の0・86。安定感抜群の投球で、和田阪神初の4連勝へと導いた。
聖地の女神はまたも藤浪に微笑んだ。ピンチをしのいだラッキーセブン。勝利を確信した色とりどりの風船が青空に舞う。デビュー戦で敗れたヤクルトにリベンジ。救援陣が無失点で締めて、プロ2勝目を手にした。
「調子自体は良くなかったんですが、何とかゲームをつくることができて良かったです」
直球が打者の手元で微妙に動くムービングボールを効果的に使った。「言葉は悪いけど汚い球、キャッチャーが捕りにくい球」と女房役の藤井彰が評した魔球。この試合では計4Kと三振を狙わず、ストライクゾーンで勝負した。
初回から最速151キロの動く直球にカットボールやカーブを織り交ぜ、打ち取る投球を披露した。「今日は藤浪に尽きる。すごく状態がいいという感じではなかったけど落ち着いていたね。打たせてとる投球に徹していた」。チームを4連勝に導いた孝行息子を和田監督も手放しで絶賛した。
最大のピンチは3点リードの七回だった。1死からミレッジに二塁打を浴び、得点圏に2回目の走者を背負った。だが、続く4番バレンティンを145キロの直球で三塁ゴロ。続く畠山も140キロの直球で空振り三振に仕留めた。高校時代から続く聖地の連勝を『11』まで伸ばした。
甲子園から愛される理由がある。今春のセンバツ大会。母校・大阪桐蔭は3回戦で敗れたが、藤浪がチームに残した伝統は受け継がれていた。ケガで欠場した主将の森友は、ベンチで後輩の打順に回るとバットや手袋を用意。サポート役に徹した。それは昨年まで登板がない試合で藤浪がやってきたことだった。ナインや後輩を思いやる藤浪の姿を、聖地の神様も見ていたのかもしれない。
公式戦3度目の先発は7回2安打無失点。「完投しろと言われたらできた」という状況だったが、首脳陣の判断で、長いシーズンを見据えて83球でマウンドを降りた。初勝利のウイニングボールは両親に贈った。2つ目は「う~ん、どうしましょうかね…。読者プレゼントにしますか?1日じっくり考えます」とジョークで締めた。
2試合連続のゼロ封も藤浪自身は納得していない。「まだMAXは見てないからね。どこまで成長するか楽しみだね」と指揮官。背番号19はまだまだ夢を見せてくれそうだ。