鬼門の虎15失点…9連戦初戦に投壊
「中日15‐3阪神」(23日、ナゴド)
鬼門はあくまで鬼門…なのか。ナゴヤドームでの今季初戦、阪神は今季初の2桁失点で惨敗した。計15失点は8年ぶり。先発・能見篤史投手(33)が4回4失点で降板。五回は、今季初登板となった久保田智之投手(32)が大乱調で1イニング8失点。あっけなく、チームの連勝は4で止まった。
屈辱的な数字が並んだスコアボード。振り返りたくもない。消せるものなら消してくれ。エース・能見を立てた9連戦の初戦でまさかの大敗。今季ワーストとなる2桁15失点。3年ぶりの5連勝を狙った猛虎の進撃は、鬼門・ナゴヤドームに封じられた。
エースを襲った異変。初回、大島への先頭打者四球。しきりに指先を見つめる姿がマウンドにあった。16日の巨人戦で割れた左手の爪。まだ完全に治っていなかった。制球と切れが信条の能見には、致命的な“足かせ”となった。
犠打と内野安打の1死一、三塁。中西投手コーチが、トレーナーを引き連れてマウンドに向かった。「大丈夫です」。9連戦の初戦。できるだけ長いイニングを投げ、中継ぎ陣の酷使を避けたかった。
だが、左犠飛と中前適時打で2点を失うと、二回にソロを被弾し、四回にも左前適時打を許した。4回6安打、4失点。「先制点を与えたくなかったんだけど…」と能見。患部のさらなる悪化を避けるため、和田監督は早めにタオルを投げた。
「だいぶ爪を気にしていたね。状態によっては一回、飛ばさないといけないかもしれない」。虎将の顔に広がる苦渋の色。敗戦に重なる不運。次回登板までに爪の状態が戻らなければ、先発ローテを一度外す可能性を示した。
敗勢の中、2番手・久保田が、火に油を注いだ。1回5安打、4四球の8失点。竜に傾く流れを断ち切る任務は未遂に終わり、勝敗の行方は決した。
「9連戦の頭で勝ちパターンのピッチャーは使われへん。できればもう1イニングいって欲しかったんだけど」。サンドバッグ状態の久保田を続投させざるを得なかった日程面の事情。和田監督の心中も苦しかったに違いない。
昨年、2勝9敗1分けと辛酸をなめさせられたナゴヤドームで繰り広げられた惨劇。「ここに来ると…というのもあるかもしれないけど、1敗は1敗。気持ちを切り替えてやっていくしかない」と和田監督は素早く思考回路を前に向けた。
傷は浅いうちに治すべし。『鬼門』は『喜門』に変えるまで。たった1文字の変換。ひたむきに、ひたすらに猛虎は追い求める。