西岡 足攻&猛打賞!鬼門で今季初勝利
「中日0‐3阪神」(24日、ナゴド)
オレに鬼門は関係ねぇ。阪神・西岡剛内野手(28)が初回に左前打から二盗を決め、先制機を演出。六回には1死満塁から中前適時打で貴重な追加点を挙げるなど3安打で強力に打線をけん引した。無敗男のカブレラもKO。長年、猛虎が苦しめられてきたナゴヤドームもこの男がいれば心配無用だ。
鬼門なんて関係ない‐。虎を強者へと変えるために、西岡は猛虎のユニホームを身にまとった。前夜、大敗した重苦しい空気を初回で切り裂いたスピードスター。ナゴヤドームの苦い歴史を知らない男だからこそ、新たな道を切り開ける。
ゲームの流れをつくったのは初回だ。無敗のカブレラに対し「2度目の対戦なんでイメージはできていた」と追い込まれても自慢の直球をカットし続けた。7球目、外角146キロの直球をきれいに左前に打ち返すと、続く大和の3球目にスタート。鮮やかに二塁を陥れて好機を拡大した。
「昨日、イヤな負け方をして、違う意味で勢いをつけたかった。良い方向に進んで良かった」とマートンの適時内野安打で先制のホームを踏むと、ムードが変わった。投手が粘り、打線が援護する本来の姿に戻った。
六回1死満塁の場面では「任せてもらってるんで絶対に点を取らないといけない」。ベンチは前の打者、スタンリッジに三振を命じて西岡に託した。その期待に応えるように、初球の直球を中前へはじき返すダメ押しのタイムリー。三回の左翼線二塁打を含めると、早くも今季4度目の猛打賞だ。
リベンジを誓っていた中日戦‐。2日のゲームで移籍後初のサヨナラ打を放った翌日。ベッドから起きようとした西岡に異変が生じた。「朝、起きたときからおかしかった。今まで一度もこんなことなかったのに」。ぎっくり腰で、まともに歩けなかった。地獄にたたき落とされる“悪魔の鉄槌”。原因は京セラドームの硬い人工芝だった。
第2戦を欠場したチームは逆転負け。強行復帰した第3戦はカブレラらの前に4タコに終わり、完封負けを喫した。「1番打者が出ないと野球にならない。結果が腹立たしい」と自らに怒りの矛先を向けた。同じ相手に2度もやられるわけにはいかない。必ずやり返す‐。強烈な勝負根性を持つ西岡に、鬼門や相性は関係ない。
ここ2試合は無安打に終わっていただけに「フラストレーションがたまっていた」と言う。試合前には関川打撃コーチとフォームを確認し、微調整、準備を怠らなかった。勝つために何をやるべきか‐。「勝ったら全部、OKでしょ!」と声を弾ませる背番号7は、その術(すべ)を身につけている。