良太弾から猛虎祭や!今季最多11点大勝
「阪神11‐3広島」(30日、甲子園)
阪神が14安打の猛攻!今季最多11点を奪って大勝した。打線に火をつけたのは新井良太内野手(29)だ。二回に右中間へ今季甲子園初本塁打となる2号先制2ラン。29日の試合では打席でタイムをかけた際、バリントンに“挑発球”を投げ込まれたが、バットできっちりお返しした。その後も着実に加点。チームは貯金3で4月を終えた。
右打者が憧れる到達点だった。この夜は珍しく無風。それでもインパクトの瞬間、白球の行方を確信できなかった。浜風がアゲンストになる甲子園球場で、最も着弾が至難とされる右中間の最深部。難局を制した良太の希少な先制2ランが、守乱で喫した前日の苦々しい敗戦を払しょくした。
「風はなかったけど、入るとは思わなかった。ゲッツー覚悟で、思い切っていったろうと思っていったのが良かったと思う。練習でやってることができたので…」。場面は二回1死一塁。試合前の打撃練習で、徹底して追求した逆方向への強い意識が奏功した。終わってみれば打線は14安打11得点の猛攻劇。前日、バリントンの投じた“挑発球”について改めて問われると、良太は「全く関係ない」と強い口調で質問を制した。雑念は無用。7番打者が放った今季初の本拠弾が口火となり、大勝へ導いた。
「肉離れは自己管理能力の欠如。試合に出ている以上、足の不安は関係ない」。3月終盤、和田監督から「勝ち取った」と称された開幕4番の座を早々と手放した。5日の広島戦(マツダ)で左太もも裏を痛めて戦線を離脱。10日後に1軍に再合流したが、即日の先発復帰が見送られるほど、完治とはほど遠かった。
「野球で緊張した覚えがない」と言うつわものだが、肉体と神経は本人の意思とそぐわなかった。3月29日の開幕前夜、長い夢を見た。神宮のヤクルト戦で迎えるプロ初の開幕スタメン。のし掛かる4番の重圧に屈したくない。そんな思いが熟睡を遮ったのか。夢の中身は生々しかった。「勝敗は分からないけど、2四球でヒットは出なかった」。守備位置はなぜか終盤から左翼へ回り、クッションボールの判断も誤った。浅い眠りから覚め本番を迎えたが、開幕戦の無安打は正夢になり、藤浪が初先発した3戦目は痛い失策も犯した。
負傷の夢は見なかったが、肉離れが自己管理の欠如ではないことは周囲が認識する。長打増産のために、体重増で自己改革に臨んだ今季。102キロをベスト体重に設定したが、故障後は下半身への負担を考え、現在は100キロ弱をキープする。「そこが難しいところ。これからもああいう打球を打てるように練習したい」。良太が追求する打撃向上の欲は尽きない。