新井兄弟の驚弾競演で藤浪黒星消した!
「阪神5‐7ヤクルト」(5日、甲子園)
敗戦の中に見えた光明‐。猛虎の粘り、そして意地。それを凝縮した新井兄弟の一撃。ゴールデンウイークに詰めかけた4万6185人の脳裏に、その豪快な弾道をしっかりと刻み込んだ。
ここまで3連勝中の藤浪が、五回に3失点。序盤の好機を逸した猛虎打線は、六回まで沈黙を続けた。今季は、このまま敗北を喫する試合も多い。ここまでか…。その空気を切り裂いたのが、新井のバットだ。
七回。ヤクルト・八木が制球を乱し、2四球で無死一、二塁。ここで新井が2球目の内角直球を豪快に振り抜くと、白球はバックスクリーンへと飛び込んだ。叫びにも似た歓声が渦巻く熱狂の聖地。新井は一塁を回ると、右こぶしを握り、そして力強く掲げた。
劇的な2号同点3ラン。「狙ってはいないけど、積極的に行こうと思った」。最後のひと伸びを与えたのは、新井の気持ちだ。「(藤浪)晋太郎が頑張って、粘り強く投げていましたから」。
1つの流れが生まれた。再び2点を勝ち越された八回。今度は弟・良太が2死三塁で2番手・石山の外角直球を一閃(いっせん)だ。「いつも通り、センター返しを心掛けた」。兄の弾道を追うような打球が、バックスクリーン右へ消えた。
今季初の兄弟アベック弾。「(二回に左飛の)マートンと(四回に中飛の)兄貴の打球も(風に)戻されていた。入るとは思わなかった」。強風などものともしない。和田監督、そしてファンが求めてきた強い猛虎。一端が、そこに見えた。
九回に守護神・久保が勝ち越しを許し、結果は敗戦。それでも指揮官は「ここのところなかった、反発力というのが出てきた」と、攻撃陣の粘りに手応えを口にした。
新井は言う。「投手陣には、いつも助けてもらっている。また明日、頑張りたい」。6日からは敵地に乗り込んでの巨人戦。宿敵に見舞う一打で、投手陣を、チームを、今度こそ救ってみせる。