藤井彰が“足スト”2年ぶり盗塁決めた
「巨人2‐5阪神」(6日、東京ド)
勝利を引き寄せた虎将のタクト。集積したデータをフル活用し、痛快な逆転勝利へ実を結ばせた一手。1点ビハインドの四回、1死一塁から阪神・藤井彰に命じた盗塁のサイン。相手の虚を突いた二盗が同点の舞台を整え、宿敵撃破の礎となった。
先頭・伊藤隼が遊撃内野安打。8、9番に回る打順。仕掛けどころ満載だった。藤井彰の7球目に企てた伊藤隼の盗塁は失敗に終わった。藤井彰も四球を選んだ。送りバントがファウルになった2球目。直前に阿部がシフト変更のサインを出した。今だ‐。和田監督がまたも動いた。
犠打を想定した一塁・ロペスが本塁へチャージすると、藤井彰がスタート。能見が構えたバットを引き、間一髪で二塁を陥れた。傾きだした流れ。能見の右前打を挟んで、西岡が同点の中犠飛。足で女神を振り向かせた。
「どうしてもこの球場は空中戦になりがちだけど、1点を取りにいくときには足を絡めてね。向こうのシフトをかいくぐって、いいスタートを切ってくれた」と和田監督。二塁封殺を狙う際のロペスのチャージが早いという情報を逆手に取った作戦勝ちだ。
移籍後2個目、2年ぶり通算18個目の盗塁を決めた藤井彰もしたり顔を浮かべた。「ああいうシフトをしてくるということで準備はしてました。僕の足なら、普通でいけばアウトですから」。スキを突き、得点につなげ、勝利を呼んだ激走。決してギャンブル的な意味合いではない采配。走塁革命が宿敵を粉砕した。