新井2打席連発で4年ぶり東京D3連勝

 「巨人0‐5阪神」(7日、東京ド)

 しびれた、酔った。阪神・新井貴浩内野手(36)が自身2年ぶりとなる3試合連続本塁打、しかも2打席連発を放ち、2009年以来4年ぶりとなる東京ドーム3連勝を飾った。点差を広げる四回の右中間3ランに、勝利を決定付ける七回の左中間ソロ。今、最も頼れる男の価値あるアーチで、首位・巨人とのゲーム差を3・5に縮めた。貯金も今季最多の「5」。このままGに3連勝といきたい。

 神戸市内の新井家では、2人の愛息がソファの上できゃっきゃ跳びはねた。格好良すぎるフィニッシュでクギ付けにしたのは家族だけではない。全国の猛虎党が「新井の日」に酔いしれた。

 チームが4連敗中の杉内に胸のすくような2連発をお見舞いした。四回に3試合連発となる4号3ランでリードを広げると、次打席の七回に5号ソロ。浮いた直球を逆らわずに右方向へ。上ずったスライダーをフルスイングで左中間へ。ともに失投を逃さず、完ぺきな軌道を描いた。昨年8月以来の2打席連続アーチで、09年以来4年ぶりとなる東京ドーム3連勝を景気よくもたらした。

 ベンチ前でおなじみになった皆で両手を掲げる歓喜の儀式は前夜に続き西岡の手によってはぐらかされたが、それもご愛嬌(あいきょう)。

 「あの野郎…。でも、剛がすごく盛り上げてくれているのでオッケーでしょう。自分の状態もいい。どんどん盛り上げていきたい」。試合後、バスへの導線を歩く新井の口調は滑らかだった。ただ一瞬だけ表情が神妙になったのは、ここまでの過程を問われたとき。「権田トレーナーに感謝したい。リハビリ、キャンプ…ずっと親身になってくれた。今、野球をできているのは権田さんのおかげ。喜んでくれていると思う」。胸の内を感謝の言葉に変換した。

 昨夏、シーズン中に訪ねた福岡県内の病院で非情通告を受けた。慢性的な右肩痛が限界に達し、球団トレーナーの薦めで専門医の診断を仰いだ。球界でも知名度の高い肩の権威。MRI画像が映し出した故障は、右肩後方関節唇(しん)損傷、腱板不全断裂、そして肩峰下(けんぽうか)滑液包炎。複数に及んでいたため、球団は公表を控えた。

 その後は大阪、三重と専門医院を渡り歩き、手術の必要性、完治のすべを探る日々。オフはリハビリ担当の権田トレーナーと無休でリハビリを続けたが、復調の出口ははるか遠くに感じられた。

 神頼みもした。開幕直前の3月25日。チーム練習の休養日に家族4人で三重旅行に出掛け、伊勢神宮を参った。「肩のケガが完全に治って、もう一度活躍できますように…」。参拝を薦めた妻の裕美子さんと2人の愛息が本殿で手を合わせ必死に拝んでいる姿に胸が熱くなった。この日は試合前に電話で息子たちから「ホームランね!」とせがまれていた。感謝の気持ちを目いっぱい表現したい。報恩の機会はたっぷり残されている。

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