大和鮮やか“回転打法”でダメ押し打

 「ヤクルト0‐5阪神」(10日、松山)

 言葉では説明がつかない。阪神・大和が持つ天性の打撃センスが、懐に食い込んでくる厳しいカットボールを捉えた。きれいに体が一回転すると、打球は左翼線ギリギリのところで弾んだ。ダメ押しとなる2点適時打。対戦打率・476のツバメキラーが、芸術的な一打で4連勝を決定づけた。

 場面は五回だ。メッセンジャーの走者一掃となる3点二塁打で先制し、なおも1死一、三塁。カウント1ストライクからの2球目、内角130キロのカットボールに「うまく体が反応した」。両腕をたたみ、体を回転させてはじき返した打球はファウルゾーンを割ることなく芝生の上に落ちた。

 普通の打者ならファウルか、どん詰まりのフライ、ゴロにしかならないコース。「ファウルかなと思ったけど、軸回転で何とか打てた」と大和は納得の表情を浮かべた。右打者が最も苦労するボールをフェアゾーンに落としてみせる技術。水谷チーフ打撃コーチは「あいつは内角を打つのが一番、うまい。それは天性のもんや」と言う。

 06年当時、ファームで育成コーチを務めていた同コーチは、入団してきたばかりの大和を見て衝撃を受けた。体の線が細く、プロでやっていけるとは思えなかった選手。だが打席に立つと、教えてもいないのに、何度もプロの内角球を鮮やかにさばいてみせた。

 「あれは驚いた。だから1年目から上(1軍)で見てくれんやろうかと言うたよ」。練習参加だけでもと1軍首脳陣に頼みこんだこともあった。高校時代から体に染みついていた内角打ちの技術。右打者にとって最も難解なコースを、大和は「タイミングさえ合えば」打っていける。それが1軍で3割前後の打率をキープできる要因だ。

 好相性を誇るヤクルト相手に「良いイメージの中でやれている」と語った大和。くしくも09年にプロ初安打を放った試合もヤクルト戦だった。確かな技術と自信‐。タイムリーとなった左翼線の打球が切れなかったのは、決して偶然ではない。

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