不敗メッセV打&完封で昨季から8連勝
「ヤクルト0‐5阪神」(10日、松山)
阪神が4連勝!首位・巨人に1・5差と迫る完封勝利を決めた。立役者は先発のランディ・メッセンジャー投手(31)だ。投げては9回5安打無失点で今季2度目の完封。五回には先制の3点二塁打を放って、ビッグイニングを演出した。これで今季開幕から自身負けなしの5連勝、昨年から8連勝。メッセが投げる今季の金曜日は、7戦全勝となった。
不敗神話は止まりそうにない。勢いを象徴する豪快なピッチングとスイングで野球王国・松山のファンを魅了した。「自分が投げる時は打ってくれるのでチームメートに心から感謝したい」。ヒーローインタビューでは身長198センチの大男が一層、大きく見えた。メッセンジャーが、野球を愛した松山出身の俳人・正岡子規もビックリの大暴れだ。
今季2度目の完封勝利でハーラートップの5勝目。阪神の外国人投手では、1964年のバッキー以来の8連勝を飾り、登板試合はチーム10連勝となった。記録ずくめの快投となったが、平たんな道のりではなかった。初登板の坊っちゃんスタジアム。初回から慣れないマウンドの硬さや傾斜に苦しんだ。
初回1死一塁でミレッジにストレートの四球を与えると、たまらず踏み出す左足が着地する部分の土を右足で掘り出した。「踏み込む所に大きな穴があった。どう修正するかだったけど、うまく修正できた」。試合中にプレートを踏む位置を一塁側に移して左足を踏み出す位置を変え、セットポジションでのフォームも背筋を伸ばした。対応力が好投を生んだ。
踏ん張り続けた右腕には運も舞い降りた。五回1死満塁。「内野の頭を越えてくれたらいいと思ったけど、幸運にも失投が来てくれた」。石川の外角高めの直球を捉えると、ライナーが左中間を破った。決勝の3点二塁打。通算5本目の適時打に興奮を隠せず、二塁で激しく手をたたいた。
快打の後はさらに加速。八回終了時点で、今季最多の129球を投げていたが、完投を志願して来日最多の142球を投げ抜いた。和田監督は「四回で83球と球数が多くて、とても完投するとは思えなかった。まさか完投するとは」。指揮官も驚きの力投だった。
投げ抜く下地はできていた。10年の先発転向後、メッセンジャーは外国人投手には珍しくシーズン中も練習中に外野を走り続けている。下半身を鍛えてきた成果が力投に結びついた。
メッセンジャーが登板した今季の金曜日は7戦全勝で、首位・巨人とついに1・5差。弾みはついた。さあ、今季初の5連勝へ。交流戦前の奪首は、もう夢物語ではない。