西岡大暴れ!流れ呼ぶ5安打&好走塁
「ヤクルト7-11阪神」(11日、松山)
阪神が今季初の5連勝で、貯金を今季最多の8とした。1番・西岡剛内野手(28)は5打数5安打の大暴れだ。この日試合前、藤浪晋太郎投手(19)が登録を抹消されたが、チームの強さは完全に本物。きょう12日は交流戦前のラストゲーム。今の勢いで連勝を伸ばしてみせる。
まるで魔法がかかったように、打球が次々とヒットゾーンへ飛んでいった。詰まっても、芯を外しても、野手の間に落とす匠の技術。西岡の移籍後初となる5安打から先制、逆転、そしてダメ押し点が生まれた。和田阪神初の5連勝。チームを未踏の領域へ導いたのがスピードスターだ。
初回、小川のカットボールに詰まりながらも左前へ落とした。鳥谷の適時二塁打で先制のホームを踏むと、2点を追う三回1死の第2打席は、フルカウントから直球を再び左前へ。これが新井兄弟の連続タイムリー二塁打につながった。
第3打席は左前へクリーンヒットを放ち、第4打席も左前打で鳥谷のダメ押し3ランを演出。八回の第5打席で一、二塁間を破ると、スタンドからは歓声ではなく感嘆の声すら漏れた。ロッテ時代の2010年5月22日・ヤクルト戦以来となる1試合5安打。お立ち台で「たまたまだと思う。たまにはこういう日もあっていいでしょ」と冷静に振り返った。
そして5安打以上に輝きを放ったのが逆転された直後、三回の走塁だ。1死一塁から打者・大和とのエンドランで、三ゴロの間にスキを突き、一気に三塁まで陥れた。状況的には2死二塁からでも単打で生還できるケース。まず、大半の選手は無理をせず、三塁までは狙わないケースだ。
それでも西岡はこう言い切った。「逆転された直後だったんで、勢いをつけたかった。あれが終盤だったら走ってない。チームに活気をつけたかったし、まだ序盤。動く試合だと思った」と意図的なギャンブルプレーだったことを明かす。
勝ち方を知る男‐。プロ入り時の担当スカウトで、昨年11月に西岡との直接交渉に当たったロッテ・松本編成統括は「勝つために何をすべきか知っている選手。ムードの作り方、ゲームの中での動き、すべて考えてやれる頭の良い選手。今の阪神にすごく合うと思うよ」。今年2月、宜野座キャンプを視察した際に、こう語っていた。
試合展開を読み、ワンプレーで流れを変える背番号7。和田監督が「あの走塁で空気が変わった」と、現実にゲームは逆転へと動いた。まるで千里眼を持つかのようなワンプレーに「点が入ったんで良かった」と充実の表情を浮かべた西岡。主に試合をつくるバッテリーでもないのに、1人で試合を掌握した男。際立つ勝負勘に周囲は“恐ろしさ”さえ感じる。