能見エースの仕事「緊急登板」で3勝目
「ヤクルト2‐4阪神」(12日、松山)
マウンドに上がった以上は、言い訳をしない。結果ですべてを示せばいい。藤浪の離脱に伴い、登板間隔が中7日から中5日に変更された「緊急登板」。阪神・能見の背負いきった責任感が、107球の力投に色濃く見えた。交流戦前最後の一戦を、白星で締めくくった。
「(登板日の変更は)調整とかじゃなくて、できることをやるだけなんで」
要所を締めた。失点は三回の犠飛と八回に水田に許したソロ弾のみ。チェンジアップを多投しながらのピッチングは「フォークが微妙だったので。藤井さんが考えてくれました」と、試合途中に修正を施してのもの。苦しみながらも、今季初対戦となるヤクルトを相手に、粘って味方打線の援護を待ち、勝ちきった。
試合後に「疲れました」と漏らしたのも無理はない。当初は14日のオリックス戦に先発予定だったが、10日にこの日の先発を告げられた。WBCでは中継ぎをやりながら先発もこなす調整を経験。「引き出し」が増えた部分はあっても、急きょ登板間隔が短縮されるのは辛い。だからこそ和田監督は「今日はエースがチームのために投げてくれたゲーム」と称えた。
「チームが勝ったのが一番です」と能見。これで自身2連勝で3勝目。自ら口にすることはないが、苦しい時にチームを救う姿に、エースであり柱としての大きな存在感が見えた。