どうした榎田…自己ワースト5失点
「交流戦、阪神2-9オリックス」(15日、甲子園)
まだ明るさの残る甲子園のマウンドで、ぼう然と白球の行方を見送った。今季初めて浴びた一発。初回、2死から3番バルディリスに134キロの直球を完璧に捉えられた。ライナー性の打球はそのまま左翼スタンドへ。虎党のため息が、オリックスファンの歓声にのみ込まれた。
さらに続く李大浩に右前打されると、5番ロッティーノにも左翼スタンドに運ばれた。手を腰に当てて首をかしげる左腕。試合前までの防御率は1・31。抜群の安定感を誇る左腕が初回に3点を献上した。
「関西ダービー」初戦を制し、ますます勢いづく猛牛打線。一発攻勢はこれで終わらなかった。三回にも李大浩にバックスクリーンへ、特大の6号2ランを放り込まれた。外国人3人で組まれたクリーンアップに、プロ入り1試合最多となる計3発を浴びた。
「調子が良かった分、ストライクゾーンにボールが集まりすぎたのがいけなかったです」
結局、4回7安打5失点でマウンドを譲った。5失点も自己ワーストだった。阪神・榎田のまさかの乱調に試合後の和田監督も嘆いた。
「きょうに関しては腕が振れていなかった。李大浩に2ランを打たれてから腕が振れだしたね。コントロールが甘かった」
3日遅れの「母の日」のプレゼントとはならなかった。大学時代から毎年、母・きよ子さんへ花を贈っていた。しかし、「花をもらっても…」と言う母に、「今年は嫁に頼んでバームクーヘンを贈ってもらいました」と心優しき孝行息子。残念ながら、鹿児島の母が一番喜んでくれる白星とはならなかった。
中西投手コーチはこれまで、手術明けの榎田の状態を考慮して、先発を一度、飛ばすことを示唆してきた。だが次回は通常通りに回すことを明言。次は22日のロッテ戦が有力。5失点KOにも試合後の榎田は気丈だった。千葉でリベンジしてみせる。