西岡“虎1号”先頭弾!猛虎打線に点火
「交流戦、阪神9‐5ソフトバンク」(18日、甲子園)
切り込み隊長の一発で波に乗った阪神が、連敗を3で止めた。初回に西岡剛内野手(28)のタテジマ初アーチとなる先頭打者弾が飛び出すと、新井良太内野手(29)も負けじとプロ初の満塁弾。初回5得点を挙げるなど昨年の沢村賞投手、ソフトバンク・摂津を打ち崩した。5盗塁3本塁打と大暴れで交流戦初白星を手にした。
打つべき人間が、負の連鎖を断ち切った。大歓声で聖地が揺れる中、悠然とダイヤモンドを一周した西岡‐。交流戦スタートからまさかの3連敗、自身も2戦連続無安打と重苦しい空気を振り払った移籍後初アーチ。初回、左翼席に飛び込んだ先頭打者弾が、眠れる猛虎をたたき起こした。
「3連敗で流れが悪かったし、インパクトがあることをしたかった。セーフティーも考えたが、初球が変化球のストライク。思い切って行こうと」。結果以上の衝撃を狙った第1打席、カウント1ストライクからの2球目だった。外角直球をギリギリまで引きつけて一せん、打球は高々と左翼方向へ舞い上がった。
「手応えはあった。入るとは思わなかったけど、ヒットにはなるかなと思った」。右翼から左翼へ吹き抜ける浜風が西岡の打球を後押しする。内川が懸命に背走したが、勢いを失うことなく左翼ポール際へ着弾した。ロッテ時代の2010年以来、自身通算18本目となる先頭打者アーチ。「試合前に神社参拝したかいがありました!」と試合中にコメントしたが、これは西岡が若き日から貫く“プロの流儀”だ。
ロッテ時代に1軍でブレークした05年直後から、報道陣の前で自分が努力する姿を極力見せなかった。練習後に平然とロッカーへ引き揚げたと見せては、球場内のブルペンなどで打ち込んでいた。それが関係者の話で明らかになることが多々あった。
「結果がすべてですから」と言い切り、グラウンドで結果を残すために最大限の準備を怠らない背番号7。この日もそうだった。試合前練習には参加せず、室内練習場で関川打撃コーチが見守る中、30分以上もの打ち込みを行った。室内から出てきた水落打撃投手のしたたる汗が、そのハードさを物語っていた。
それでも「だから室内には行ってへんて言ってるやろ!!神社でお参りしてたんやって!!」と語気を強めて言い張っていた西岡。プロはグラウンドで表現することがすべて‐。体調に合わせて通常より40グラム軽いバットを用い、「流れを変えるために」放った“プロの一撃”が眠れる猛虎を呼び覚ました。
良太が満塁弾で続き、鳥谷もダメ押し弾を放った。甲子園での1試合3発&5盗塁は、今季初と見違えるような積極性から生まれた。「普通なら5連敗、6連敗とズルズル行くけど。自信を持っていいと思う」と交流戦初星に力を込めた西岡。猛虎の快進撃はやはり、この男抜きでは語れない。