“鳥人”大和、満塁ピンチに会心の美技
「交流戦、ロッテ1‐7阪神」(23日、QVC)
難易度Eレベル。真正面の打球。判断を迷わせ、鈍らせる幕張の風。清田の放った中堅手泣かせの飛球を阪神・大和が見せ場に変えた。魅せた。救った。三回、1死満塁。懸命の背走からジャンピング捕球。失点を最小限に食い止め、勝利の礎を築いた。
左肩越しの視界に打球を捉えた半身の背走。左から右に流れる風が、いたずらに白球の行方を操作した。だが、大和がプロの技を見せた。素早く体の向きを入れ替え、今度は右肩越しに打球を見つめ、最後は左手を伸ばしてジャンピングキャッチ。越されれば大量失点につながるピンチを1点に防いだ美技。きまぐれなQVCマリンの風を黙らせた。
「昨日(22日)も守ってたし、風も強くなかったので」。三、七回と2度の犠打失敗を犯した大和は、手放しで喜ぶことはなかった。だが、和田監督は「あれはビッグプレー。攻撃の分(ミス)を差し引いても、大きなプレーだった」と褒めちぎり、黒田ヘッドコーチも「今日は大和の守備やな」と値千金の守備を勝因のひとつに挙げた。
失敗は誰にでもある。ミスを引きずらず、いかに次につなげられるかで選手の価値は変わってくる。大和が見せた男の意地。不動のセンターラインを担う存在感。背番号0。グラウンドの一番遠いところから戦況を追う背中が、実に大きく、頼もしく映った。