高山鮮烈虎デビュー!移籍初打席弾!
「交流戦、オリックス4-3阪神」(31日、京セラ)
どよめきと歓声が、快音をかき消した。阪神・高山が西武から移籍後、初めて1軍に昇格して「7番・左翼」で即先発。その第1打席で移籍後初本塁打を放った。かつてのエース・井川との初対戦となった関西ダービーで鮮烈なデビュー。誰よりも自分自身が驚いた。
「自分でもびっくりしている。打った時は信じられなかった。これ以上ないスタートになった。出来すぎですね」
三回無死。136キロの内角直球を捉えた。神主打法から放たれた打球は、長い滞空時間を経て左中間席最前列に到達。西武時代の12年8月28日の日本ハム戦以来の同点1号ソロとなった。
三塁ベンチ前では待ち構えたナインと、左翼席へお決まりのポーズを決めた。「うれしかった。教わっていないけど、かけ声に乗った」。この日初めて顔を合わせた選手がいたこともあり、大歓迎に顔をほころばせた。
三回の守備に就く際には、左翼席の虎党がスタンディングオベーションで迎えた。「名前をコールして下さった時に鳥肌が立った」。帽子を取り、深々と頭を下げた。
ようやく巡ってきたチャンス。逃すわけにはいかなかった。10年に11本塁打を記録したものの、今季、西武では1軍で戦う機会すら与えられなかった。
だが、気持ちは折れなかった。2軍での練習中。左膝手術から復帰を目指す中村がティー打撃を始めると、高山は練習を中断。4度も本塁打王に輝いた主砲の元に足を運び、スイングを注視した。何かを吸収したい。貪欲に学び続ける姿勢が、新天地で好結果に結びついた。
和田監督は「左にも十分いけるスイングを見せてくれた。そういう所での起用も多くなるんじゃないかな」。今後も左投手との対戦時に起用する方針を示したが、苦しみ続けてきた31歳は冷静だった。「そんなに甘くないので一日一日、悔いがないようにしたい」。04年4月15日、近鉄戦でプロデビューを果たした球場で、最高の再スタートを切った。この先も突っ走るだけだ。