虎、元エース井川に痛烈恩返し食らった
「交流戦、オリックス4-3阪神」(31日、京セラ)
関西ダービーが鬼門だなんて…。阪神が今季2度目の3連敗、オリックス戦は昨季から引き続いて4連敗となった。阪神戦初登板となった井川慶投手(33)に今季初勝利を献上した。巨人も敗れてまたも首位とのゲーム差は1・5のまま。西武からトレード移籍した高山が、初打席で初アーチを放ったのが唯一、虎党の救いだった。
ガタガタと鈍い音を立て始めた歯車。タテジマが泥沼に足を取られた。今季2度目の3連敗。負の終着地に向かう流れと空気を変えることはできなかった。ミスが失点に絡み、敗北に直結した最も望まない展開。猛虎の頭上を梅雨空が覆った。
名手のグラブからこぼれた白球が敗戦の端緒となった。同点の三回、1死一塁。遊撃右に転がった川端の打球。併殺‐。確信が一瞬で崩れた。若干のイレギュラー。鳥谷がつかみ損ねた命綱。2死後、糸井に勝ち越しの2点右前適時打。
金曜日に無類の強さを誇ったメッセンジャー。防御率は3点台半ばながら、打線の援護でリーグトップの6勝を挙げてきた。味方のミス。今こそカバーすべき時だった。だが、踏ん張れない。耳を不快にさせる軋(きし)む音が、かみ合わせの悪さを物語った。
「メッセンジャーに本来の切れがないね。空振りが取れなくて、ファウルで粘られて、球数が増えて」と和田監督。4回1/3を8安打、4四球の4失点。102球のうち、空振りは3球。150キロ近い球速ながら、直球で奪った空振りは、わずかに1球だった。
前回登板もそうだった。5月23日のロッテ戦(QVCマリン)。6回2/3を1失点に抑えたが、8安打、5四球の146球。球速に見合った空振りが奪えずにファウルで粘られ、いたずらに球数だけが増えていった。
かつての同僚・井川攻略も不発に終わった。3点差の六回、1死満塁から、鳥谷の2点適時二塁打で1点差に詰め寄ったが、あとひと押しを欠き、白星を献上した。
「アメリカに行く前ほどのスピードはないにしても、投球術というか、遅い球をうまく使ってというところでね」。かつてはともに戦った仲間。それだけに球種、球筋を把握し、十分に対策も練ったはずだった。口惜(くや)しさが募る。
黒星に救いは見当たらないが、タテジマに歩調を合わせるように巨人も3連敗を喫した。1・5差のまま。ペナント中盤。今はまだ敵軍の動静に気を奪われる時期ではないが、宿敵は視界内にいる。ツキがあるうちに負の連鎖を断ち切るべし。勝者になるための鉄則だ。