能見1安打完封!原Gに0・5差接近

 「交流戦、オリックス0‐2阪神」(1日、京セラ)

 虎のエースが底力を見せつけた。阪神・能見篤史投手(34)が、チームでは02年のムーア以来となる1安打完封勝利。自身4連勝で5勝目を挙げた。オリックス・金子とのエース対決を制し、チームの連敗も3で止めた。巨人がロッテに敗れ、ゲーム差0・5。きょうにも首位浮上のチャンスだ。

 エースの揺るぎない心を、ラスト1球が象徴していた。バルディリスを打ち取った内角140キロのストレート。3連敗中で重苦しい雰囲気の中、一度も相手に流れを渡さなかった。

 徹底して投げ続けたクロスファイヤーで今季2度目の完封勝利。抑えの久保が2軍調整中でリリーフ事情が厳しい中、一人で投げきったことにも価値がある。チームは巨人に0・5差。きょうにも首位獲りだ。

 「そんなに球種が多い方ではないから、あそこが彼の生命線」と山口投手コーチが述懐した能見のピッチング。立ち上がりから、バルディリス、李大浩ら強力打者の懐を直球でえぐった。「データでもそういうところを山田コーチにアドバイスしてもらった」と明かした能見。試合前まで12球団トップのチーム打率を誇るオリックス打線を、序盤に直球主体で抑え込むと勢いに乗った。

 五回以降はチェンジアップを絡めて1人の走者も許さない。「うまく直球で(相手打者に)意識付けができた」ことで変化球も生きた。チームが3連敗中で、打線は序盤から数多くのチャンスをつぶした。相手に流れが行ってもおかしくない状況だったが「何とか(連敗を)止めようと思った」と思い切り腕を振り抜く姿は、先発投手の地位を確立した“原点”とも言えるべきゲームを彷彿(ほうふつ)とさせる。

 09年7月19日‐。左腕はラストチャンスとなる東京ドームのマウンドに立っていた。キャンプは2軍スタート、開幕後は先発で結果を残せず、リリーフでも痛打された。ここで結果を残さなければ…。そんな状況で意を決して投げ続けたのが内角直球だった。

 当時、Gの主力打者が「ナタの切れ味」と称したクロスファイヤー。九回までゼロを並べ、12奪三振の快投に「自信になると思う」と野球人生を変える1勝をつかんだ。

 宿敵の本拠地で一発の危険性をはらむインサイド。逆境に立たされても臆さなかった。この日、女房役の藤井彰は「ここ最近でないくらい良かった」とエースの内角直球を絶賛。追い込まれた状況でも想像以上の力をもって結果を出すところに、能見の強さがある。

 WBCでは牧田に調子が悪いときのアドバイスを求められ「とにかく腕を振ること」と秘けつを明かしていた左腕。エース道を進むきっかけを与えてくれた王者の背中は、もう手の届くところまできている。

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