能見、自身初の連続完投星!6勝目
「交流戦、阪神3-1ロッテ」(8日、甲子園)
意気込むロッテ打線を鮮やかに手玉に取る。テンポ良くアウトを積み重ねた痛快な阪神・能見の完投劇。自身初の2戦連続完投勝利で、阪神では11年のスタンリッジ以来。球団の日本人選手では06年の井川以来。左腕エース同士の意地の投げ合いは、最後に能見がほほ笑んでフィニッシュだ。
「藤井さんがしっかり配球してくれたので。(ロッテの早打ちは)絞ってきてると思うんですけど、助かった面もすごく多かった。(ロッテ打線は)早いカウントから真っすぐ(狙い)というのはあったと思うので」
わずか3安打で、失点は三回の根元のソロ弾のみ。際立ったのは、終盤の3イニングを計21球で、無安打に仕留めた投球だ。直球に狙いを定めてくる攻撃を警戒しながらも、そのうち直球を15球投げ、危なげなく六甲おろしの大合唱を導いた。
「真っすぐは今のところキレも出てると思うので、これをなくさないように」。手応えは十分。相手打線が意識を置く中でも抑えきれた一因であり、それを生かしたのが緩急となる。フォークやチェンジアップはもちろん、この日もスライダーが「カウントを取れたりするのでいいですし」と効果的に決まった。
今季は開幕から、昨年以上にスライダーに手応えを感じて多投する場面が目立つ。その一因にWBCで受けた刺激があるのは確か。鮮明に焼き付いているのは、巨人・杉内のスライダーだ。
「あれは打てない。真っすぐの軌道で(手元で)スッと曲がる感じ。あれなら真っすぐとスライダーだけでいい。僕はそうはいかないし、縦の変化を使って抑えるから」
日本代表の戦いの中で出合った、一つの「理想」と言える杉内のスタイル。同じようにはいかなくても、新たな発見が向上心となり、成長の余白を見いだせたことが今の投球につながっている。
これでリーグトップの4完投。登板前には「今日は筒井が(『今日は休みだ』と)言ってました」とブルペン陣からの信頼は厚い。打席でも右に特大のファウルを放ち「打点が少ないので。惜しかったですね」と笑った。冷静に期待に応える頼もしき姿。「14」の背中が試合を追うごとに大きくなる。