新井貴逆転2ランで1000+1打点!
「交流戦、阪神3-1ロッテ」(8日、甲子園)
メモリアルな一発が、ここぞの場面で出た。阪神・新井貴浩内野手(36)が四回、左中間席へ逆転の8号2ランを放った。プロ野球39人目となる通算1000打点に到達し、1001打点目が猛虎を勝利に導いた。ロッテにはこれで11年から6連勝と相性は抜群。3連勝で今季最多の貯金11とし、首位・巨人を0・5ゲーム差でピタリ追走だ。
聖地に響き渡った驚愕(きょうがく)の声。ファンも、新井自身も「入るとは思わなかった」打球。低く、鋭く飛び出した弾道は、そのまま浮き上がるように左中間のフェンスを越えていった。圧倒的なパワーでスタンドに突き刺した一撃。プロ野球史上39人目の1000打点に到達した逆転2ランは、36歳を迎えてもなお、力が衰えていない証しだ。
場面は1点を追う四回だった。先頭のマートンが四球で出塁。カウント1ストライクからの2球目、成瀬が真ん中低めに投げた136キロ直球を上からたたきつけた。「1打席目に引っ張りに入ってしまったんで、センター中心に。抜けるかなとは思ったけど」と振り返った打球は、弾丸ライナーで左中間スタンドへ飛び込んでいった。
逆転の8号2ランに、驚愕の声が一瞬で大歓声に変わった。ベンチでは待ちかまえる仲間たちと一緒に得点ポーズをやろうとしたが、頭をたたかれ続けて不発…。それでも花束を手に「支えてくれた方、携わってくれた方、全員に感謝したい」とベンチ前で深々と頭を下げた。
「プロに入ったときは、1000打点も積み上げられるとは思っていなかった」‐。そう振り返る新井には、99年のルーキーイヤーからともに歩んできた“相棒”がいる。
昨年、飛ばなかった統一球に対応するため、長年使ってきたバットのモデルチェンジを図った。ヘッド部分に重心を置いたが、打席で好感触は得られなかった。右肩の故障も重なり、極度の不振で自身もチームも低迷した。昨季終盤、野球人生をかけ、再起への道を歩む男が手にしたのは以前使っていたモデルのバットだった。
「やっぱり感覚でね。ずっと使ってきたものだから」。初アーチで初打点を記録した99年6月6日の中日戦から14年。本塁打王、打点王を獲得したこともあれば、苦しんだ時期もあった。苦楽をともにしてきた。節目の記録もアシストしてくれた。
5月26日の日本ハム戦から足踏みが続いていたが「状態は悪くなかったから。それより(スタッフが用意する記念の)花束に悪かった」と笑った。チームは3連勝で貯金は今季最多の11までふくらんだ。「これからも(打点を)積み上げていく」と前を向く主砲の力が、交流戦優勝、そして8年ぶりのリーグ制覇へ欠かせない。