5番新井がダメ押し適時二塁打
「交流戦、日本ハム1‐6阪神」(12日、札幌ド)
ボールの反発係数は関係なかった。吉川のインハイを引っぱたいた打球が、左中間にグングン伸びた。4‐0の五回。追加点を挙げれば駄目押しとなる状況で、阪神・新井が札幌虎党の期待に応えた。 ヒットで出塁したマートンを一塁に置いて、価値ある適時二塁打。リードを5点に広げ、昨季のパ・リーグMVP左腕を粉砕した。「いつもと同じように打席に立った。追い込まれていたけど、うまく反応できた」。鳥谷の適時打で先制した初回、なおも走者二塁の場面で外寄りのチェンジアップにタイミングを外され三振を喫した。三回はマートンの本塁打の余韻が冷めやらぬ打席で、初球を投ゴロ。「吉川は難しい投手」と苦戦したが、得点圏打率チームトップの勝負強さを発揮した。
チームは5連勝で交流戦Vを視界にとらえるが、「それは頭にあるけど、まず明日の試合をしっかり取ること」と、初タイトルへの色気を封印。札幌2連勝を見据えた。
試合前に「統一球問題」でNPBを痛烈に批判した。野球界を憂うプロ野球選手会の前会長は役職を離れても、グラウンドから球界のあるべき姿を問い続ける。この日の適時打で通算打点は1002。1741本まで伸ばした通算安打は既に和田監督の1739安打を超えた。プロ野球史を飾る名打者の仲間入りを果たした新井が、ドタバタ劇の渦中にある野球界に光をもたらす。