マートン神話弾5年ぶり交流戦勝ち越し

 「交流戦、日本ハム1‐6阪神」(12日、札幌ド)

 強い。虎が止まらない。阪神はマット・マートン外野手(31)の2試合連発となる右越え7号3ランなどで日本ハムを下し、北の大地で今季2度目の5連勝を飾った。マートンが本塁打を放てば、昨年7月から8連勝。頼れる4番が、2008年以来5年ぶりとなる交流戦勝ち越しをチームにもたらした。まだ可能性が残る交流戦Vへ、この勢いで突っ走る。

 変化球には目もくれなかった。ただ1球、狙っていたボールはストレート‐。マートンが142キロの直球を広い札幌ドームの右翼ポール際にたたき込んでみせた。ここ数年、求めていた理想の軌道はチームを5年ぶりの交流戦勝ち越しへ導く、2戦連続アーチだ。

 1点リードの三回だった。1死一、二塁で迎えた第2打席。初球のチェンジアップ、2球目のスライダーを悠然と見逃した。「直球のタイミングで待ちたい」と前日に吉川攻略法を口にしていた助っ人。3球目、外角高めに来た142キロの直球を“待ってました”と言わんばかりにコンパクトなスイングで捉えた。

 打球はグングン伸びて右翼ポール際へ飛び込む7号3ラン。日本ハムの戦意を奪う一撃は、チームにとって同カード11試合、3年ぶりの本塁打だった。「外寄りの球をうまく打ち返すことができた。いい追加点になって良かった」と納得の表情を浮かべたマートン。求めてきた右方向への一発は、過去2年の挫折と決して無関係ではない。

 「甲子園の右翼席に放り込めるようになりたい」‐。2010年に214安打を放ったマートンの次なる目標が、右方向への長打量産だった。「チャレンジ」と称し、足を上げるフォーム、筋力トレーニングなどパワーアップのために色んな要素を取り入れた。

 しかし、結果は持ち味でもある確実性を失った。昨年は広がったストライクゾーンの影響も重なり、大不振に陥った。今は「ホームランが出ても、力を入れて形を崩す。センター方向を意識して、本塁打を意識せずに強くたたくことを考えている」とマートンは言う。

 ただ右方向への力強い弾道は、来日当初の2010年では見られなかったもの。失敗ととらえられるここ2年の“挑戦”は、決してムダではなかった。力を蓄え、進化を遂げた姿に和田監督も「ここのところの活躍はチームの中心、4番の仕事をしてくれている」と称賛を惜しまない。

 主砲の一振りで難敵が待ちかまえた第一関門を突破。交流戦は5年ぶりの5連勝で、貯金は最多13、順位も同率3位に浮上した。優勝のためには残り3戦全勝が必須条件と厳しい戦いは続く。それでも本塁打を打てば8連勝の4番がいる限り、可能性はゼロではない。

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