猛虎首位陥落も…悲観する試合ではない
「交流戦、日本ハム3-0阪神」(13日、札幌ド)
阪神は今季ワーストの2安打で、9度目の完封負けを喫した。五回、無死一、三塁の好機で無得点に終わると、その後はヒットすら出ず。ソフトバンクが勝ったため交流戦の優勝は消滅。連勝は5で止まり、リーグ2位に転落した。ただ、決して悲観する敗戦ではない。日本ハム先発の木佐貫は完璧だっただけ。次の戦いに気持ちを切り替えるだけだ。
今季最少の2安打に封じられ、9度目の完封負け。交流戦優勝も消滅し、巨人にリーグ首位を明け渡した。これだけのデータを並べると重い敗戦の印象を受けるが、悲観する試合ではない。相手先発・木佐貫が完璧だった。敗因は、その一語に尽きるからだ。
和田監督も脱帽の内容だった。「今日はフォークにバットが止まらなかったな。(球の)見極めのいい鳥谷まで振るんだから。そういうキレがあったのだと思う」。言葉通り、選球眼のいい鳥谷が、ボール球のフォークに2つの空振り三振を喫する。これまでには見られない光景があった。
リーグトップのチーム打率・260を誇る猛虎打線。数字以上に、ボール球を見極めての好球必打が目立った。それが好調の要因だ。だが…。
「腕が振れていた。ウチの打者が、あれだけボールを振るのは初めて。低めの見極めができないぐらいだから」とは水谷チーフ打撃コーチだ。
当然、選手たちに低めの見極めの指示は出た。それでも「それを上回るキレだったと思う」(和田監督)というのだから、手の打ちようがない。そんな試合は、シーズンにいくつかあるだろう。
それよりも、4年連続で負け越しが続いた交流戦で、しかも開幕3連敗スタートから、優勝争いできるまでに巻き返したのは、素直にチームに力がある証拠といえる。
さらに05年以来優勝から遠ざかり、優勝経験者が少なくなってきたチームの状況を考えれば、この段階で優勝を見据えながら戦えたことは、この先の勝負に生きるはず。
「どの試合も大事だが、これからの方がより大事。そこ(リーグ戦再開)でいい再スタートが切れるか。今しかできないことがある」。和田監督はそう話していた。
開幕4番を託した新井良を2軍で再調整させ、野原ら若手を起用する。DHが使える試合で今成らに経験を積ませる。または、左足の状態が万全ではない西岡をDHで起用し負担を軽減させる。今しかできないことだ。
「DHが使える間に、いろいろ使っていく。あと2試合。一番いい方法をとりたい」。西岡が年間を通して働き、シーズン終盤に若手が経験を力に変える。大きな目標への方向性がぶれないことが、今は一番重要だ。