藤浪自己最速155kmも最短4回5失点KO
「DeNA6‐4阪神」(23日、横浜)
踏ん張れ、しんちゃん‐。阪神・藤浪晋太郎投手(19)が先発でプロ最短の4回、自己ワーストの5失点で降板した。直球は自己最速155キロをマークしたが、ブランコに2ランを浴びた。藤浪はプロ初の連敗。チームも今季初の5連敗。でも、乗り越えられない試練はない。ここから巻き返せ!
自己最速の155キロも喜べるはずがなかった。藤浪が見つめた先は球速表示されるスコアボードではなく、白球が飛び込んだ右中間スタンド。4番・ブランコに自慢の直球を完璧に捉えられた。
初回だ。表の攻撃で味方が先制機を逃すと、十分にキャッチボールする間もなくマウンドへ。先頭の石川に与えた四球から2死後、ブランコに先制2ランを浴びた。
「コースは悪くなかったです。(155キロは)球速ではなく、(大事なのは)球威だと思っているので」
自己最短の4回5失点KO。4四死球、3暴投と制球が乱れた。上体に力が入り、投球フォームが安定しなかった。「コンディションも体の状態も良かったんですけど、力みが出て体が開いて、悪い部分が出てしまいました」と反省した。
三回は石川、モーガンへの四球、ブランコに与えたプロ初の死球で満塁にされ、暴投と荒波の2点二塁打で3点を奪われた。イニング終了後は、自分へのいら立ちを隠せず、悔しさからグラブで左太ももを叩きつけた。
「石川さんの四球に限らず、点を取ってもらった後に四球と死球でリズムを悪くしてしまいました。(チームが)4連敗していましたし、勝ちたかったんですが、粘れなかったです」
ブルペンでは試行錯誤を重ねてきた。中西投手コーチ、スコアラーと相談し、セットポジションを改良。グラブを胸の位置につける「癖の出にくいフォーム」にマイナーチェンジした。前回6月16日の楽天戦(K宮城)からはチェンジアップを解禁。変化球の精度も増している。白星にこそ、結びついていないが、レベルアップしているのは確かだ。
そんな“藤浪先輩”の姿は大阪桐蔭の後輩たちの憧れだ。昨年、藤浪とバッテリーを組んだ主将の森友は成績をチェックし「4勝ですよね?本当にすごいなあ」と尊敬のまなざしを送る。夏の甲子園連覇を目指し、厳しい練習に明け暮れるナインの励みになっている。
5月26日の日本ハム戦を最後に白星はないが、中西投手コーチの信頼は変わらない。「次を飛ばすというのは考えていない。本人に焦りはあるだろうけど、気持ちを切り替えてやるしかない」
次回は30日の広島戦(甲子園)に先発する。このままローテ通りに進めば、相手先発は高校時代から尊敬する前田健。舞台は負け知らずの甲子園だ。憧れの投手に投げ勝ち、待望の5勝目を手にする。