渡辺スコアラーの弔い星に和田監督喜び
「中日1‐2阪神」(25日、富山)
雲の切れ間からのぞいたかすかな輝き。一筋の光と無形の力が、タテジマの背中を後押しした。泥沼の連敗地獄に終止符を打った北陸路。リーグ戦再開後の初勝利。阪神・和田監督は夜空を見上げて謝意を伝えた。長さん、ありがとう‐。
「こんな勝ち方できるのも、長さんが見ててくれるのもあるだろうしね。選手たちも勝ちをという気持ちがあったし、ベンチも大声を出してくれた結果だね」。久しぶりの美酒。こんな気持ちを味わえたのも、あの人のおかげ。
2年前の6月28日。渡辺長助チーフスコアラーが、富山市内のチーム宿舎で急逝した。寝る時間を割いてまで、常に勝利のためにチームに尽力してくれた猛虎戦士の最期。言葉が出なかった。涙があふれ出た。感謝の念は尽きない。
弔い星をささげるため、虎将は動いた。連敗ムードを断ち切るため、能見の女房役に初めて日高を指名した。七回、無死一塁ではバスターエンドランを敢行し、先制点のおぜん立てを整えた。負けるわけにはいかない一戦だった。
「長かったな」。今季ワーストの連敗は5で止めた。フーッと息を吐いた後、視線に厳しさを宿した。追いかける敵がいる。追い越さなければならないライバルがいる。小休止は終了。加速度を上げて宿敵に忍び寄る。