和田監督、逆転で“聖地パワー”に感謝

 「阪神7‐4広島」(28日、甲子園)

 聖地の魔力。数式では導くことのできない解読不能な阪神の逆転勝利。透明な糸で敵軍を縛り付けてミスを誘い、タテジマの背中を押した無形のパワー。敗勢を激変させた不思議な力。ミラクル勝利。女神様、ありがとう。甲子園よ、ありがとう‐。

 19日ぶりの本拠地。勝利の使者は不機嫌だった。3万8385人が埋めたスタンドは、梅雨空のように曇った。六回まで無安打無得点。不穏な空気が球場を覆った。だが、きまぐれな女神は突然笑いだした。

 3点ビハインドの八回、1死一、二塁。西岡の一ゴロを松山が二塁に悪送球。二走・伊藤隼が2点差に迫る本塁を駆けた。さらに次打者・大和が試みたセーフティーバントは投手のほぼ正面に転がったが、ミコライオの送球を遊撃・安部が落球。鳥谷の内野ゴロで1点差とし、マートンが逆転の2点中前適時打。今成も2点適時三塁打で続き、一挙6得点のビッグイニングを織り成した。

 和田監督はタナボタ星の謎を必死に解いた。「スタンドのファンの方の声援だろうね。3点差でも、ひとりヒットで出ただけで声援が押せ押せの味方になって、相手にはプレッシャーになるというね」。劣勢でも声をからし、応援し続けてくれたファンに頭を下げた。

 タテジマ一筋に生きてきた虎将。この展開を予想することはできなかっただろうが、甲子園が持つ不思議な力とは何度も鉢合わせしてきた。泣かされたこともあるが、喜びの感情を生み出してくれたことの方が多かった。神の見えざる手を久しぶりに体感した。

 「今日の勝ちはホントに大きいね」。首位・巨人とのゲーム差を2・5差に詰めた。2試合を残して3カ月連続となる月間勝ち越しも決めた。貯金を再び2桁の大台に乗せた。5連敗からの連勝。これで乗らなきゃ怒られる。感謝の念は3連勝という形で女神に示す。

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