防御率トップのスタン1カ月ぶり勝った
「阪神6-1中日」(10日、沖セル)
防御率トップの阪神・スタンリッジも“沖縄連勝”の立役者だ。南国の心地良い風を受けて、スタンリッジが投打に躍動した。投げては7回4安打1失点。打っては来日初のマルチ安打で5勝目を手にした。
「今日はラッキーな日だったね。ピッチングでは思うように投げられなかったけれど、いろんな場面でラッキーだった。また、野手の皆さんが援護してくれたので助かりました」
序盤は我慢を続けた。初めて上がった沖縄セルラースタジアム那覇のマウンド。8日の練習で「軟らかくて低い」と印象を口にしていたがどうもしっくりこない。序盤は左足の踏み出す位置を何度もスパイクで直した。それでも、「ギリギリなんとかアジャストできたよ」。イニングを重ねるごとに順応した。この日の勝利で地方球場は6勝負けなし。沖縄でも“ミスター地方球場”の底力を見せつけた。
「ラッキー」はスタンリッジ自らが、たぐり寄せた。不運な安打を浴びても、味方が失策しても、イライラしなかった。三回には坂がこの試合2つ目の失策。申し訳なさそうな表情でマウンドに歩み寄る坂に言葉を掛け、坂のお尻を「ポン」と叩いた。無失点投球を続けると、その坂が四回の好機でタイムリー。待望の先制点にスタンリッジの頬が緩んだ。
バットでも沸かせた。五回に左前へ強烈な左前打を放ち2点目のホームを踏むと、六回にも中前にはじき返し西岡の3ランを呼び込んだ。「打撃でも貢献するのが大事。実は新井さんの手袋を借りたんだ。ラッキーグラブだね!」。スタンリッジはそう言って笑った。
沖縄入りした夜は大好きなステーキ、豚しゃぶ、さしみ、チキンカツに舌鼓を打った。「沖縄は大好きだよ。春季キャンプで何度も来ているからね」。試合後はパイナップルをお皿に盛って現れた。勝利のご褒美に笑顔でバスに乗り込んだ。