良太が豪快満弾!西岡代役でトドメ
「阪神8‐4DeNA」(14日、甲子園)
頭が真っ白になった。内角球を目いっぱい振り抜いたこと。大飛球が左翼スタンドに消えたこと。ベンチにかえっても、記憶は断片しか残っていなかった。「何が起こったのかよく分かりません。無我夢中でした」。これが、凱旋後、球団広報に預けたコメント。阪神・新井良は半ば放心状態でベースを回った。
「久しぶりだったし、かみしめられなかった。手応えはあったけど、打った瞬間はよく分からなかった」。行き場を失った開幕4番が、どでかい放物線を描いた。今成の逆転打が出た六回。藤井彰の適時打でリードを2点に広げ、なおも満塁で打席に向かった。カウント1‐1からの3球目を強振。甲子園のボルテージは最高潮に達した。
8号満塁弾で7‐1。5月18日ソフトバンク戦以来、今季2本目のグランドスラムは、25打席ぶりの快音だった。西岡の負傷退場で六回守備から1番三塁でオーダーに加わった。5試合ぶりに先発出場した前夜は3打数無安打。攻守で好調な坂の陰に隠れる格好で、居場所を失っていた。代役出場で即結果につなげたが、「満塁本塁打の結果は良かった。でも、次の打席とか、もっとやっていかないと」と、好機で巡った八回の三振を猛省した。
出番のなかった沖縄遠征中、早朝から1人でセルラースタジアム那覇に出向き、特打を行った。「この1本で迷惑をかけた分、プラスマイナスゼロにならない」。再び土俵に上がった良太の逆襲が始まる。