新井3安打で虎7年ぶり球宴MVP
「オールスター・第2戦、全セ3‐1全パ」(20日、神宮)
マツダオールスターゲーム2013は20日、神宮球場で第2戦を行い、全セが3‐1で全パに逆転勝ちし、1勝1分けとした。最優秀選手(MVP)には勝ち越し打を含む3安打を放った阪神・新井貴浩内野手(36)が選ばれ、賞金300万円を獲得した。阪神選手では2006年の藤本以来、7年ぶりの球宴MVP。この勢いで後半戦も、よろしくお願いします。
虎の主砲が誇らしげにお立ち台へ立った。野球ファンの大歓声を一身に浴びた新井の表情は、まるで野球少年のように輝いていた。5年ぶりに出場した球宴で手にしたMVP、そして賞金300万円‐。「知ってた!?俺、お祭り男だって!」と声を弾ませたその言葉どおり、打って、打って、打ちまくった。
1点を追う二回無死一塁で迎えた第1打席。牧田が投じた低めの直球をフルスイングで左中間へ運んだ。中前打で一塁走者のブランコが三塁へ突進するスキに、したたかに二塁を陥れた新井。これが宮本の同点適時打を呼び込むと、続く三回2死一、二塁での第2打席は、牧田の足もとを抜く中前適時打で貴重な勝ち越し点をもたらした。
球宴での打点は広島時代の07年以来。「良いスイングができて良かったと思います」と牧田のスローカーブにタイミングが合わず、追い込まれた状況で直球を仕留めた。これで終わらず、七回にも中前打を放って球宴に初出場した02年以来の3安打猛打賞。タイムリーが決勝打だったことで、同じく3安打1打点の坂本を制し、“お祭り男”の名に恥じない最高の栄誉をつかんだ。
「本当に久しぶりだし、独特の雰囲気の中で良い勝負ができて良かった」と5年ぶりのオールスターを振り返った新井。ここ数年は打撃不振や故障も重なり、真夏の夢舞台は縁遠い場所となっていた。普通なら久々の出場で球宴の空気に酔いしれても不思議ではない。だが試合前には必死に汗を流す新井の姿がある。
19日の第1戦、鳥谷とともに練習開始の2時間前に球場に入った。「肩周りのトレーニングをね」とウエートルームでシーズン再開に備えて体をいじめ抜いていた。この日も軽く汗を流す選手が大半を占める中、一、二塁間で猛ダッシュを繰り返していた。明らかに異様に映る新井の姿‐。それだけ今年の復活にかける思いは強い。
手にした賞金300万円については「奥さんに渡します」と言った。満面の笑みでお立ち台に立つ傍らで「1人、余計なことをするヤツがいる」。そう名指しした西岡が、さらなる“魔の手”を伸ばしていたことを絶頂の新井は知らなかった…。夢中で、ガムシャラに手にしたMVP。輝かしい勲章は間違いなく、後半戦へ確かな自信になる。