阪神打線「フジイ」の病…今季4敗目
「阪神1‐5DeNA」(26日、甲子園)
阪神がまたも今季天敵のDeNA・藤井秀悟投手(36)に屈した。六回まで好機もあったが、ゼロ行進。七回、鳥谷敬内野手(32)の左越えソロで1点を奪ったが結局、得点はこれだけ。藤井に完投を許し、今季対戦成績は0勝4敗となった。和田豊監督(50)は厳しい表情で「情けないね」‐。
肌にまとわりつく湿った空気が、敗戦と重なって不快感を誘う。聖地での夏休み初戦。必死に叫ぶ子供たちの声が、むなしく銀傘に跳ね返る。猛虎がまたも天敵に屈した。笛吹けど踊らず。藤井に献上した4個目の白星。悪夢は繰り返された。
「同じピッチャーに4回も5回もやられるようじゃ情けないね」。怒気をはらんだ視線と口調。和田監督のフラストレーションも沸点に達していた。今回こそはなぎ倒すと立てた誓いは、もろくも崩れ去った。
藤井攻略のポイントで主砲がワナにつかまった。安打、盗塁、敵失、四球が絡んだ初回、1死一、三塁の同点機。「振り返ると、あそこしかなかったもんね」と虎将が回想した場面。カウント2ボール1ストライクのバッティングチャンスで、マートンが二ゴロ併殺打。反撃ムードが霧散した。
それでも1点差。五回の攻撃前には一塁側ベンチ前に円陣が組まれ、水谷チーフ打撃コーチが、いつも以上に時間をかけ、身ぶり手ぶりを交えて局面打開の助言を授けた。だが、反撃は左翼ポールを直撃した鳥谷の6号ソロのみ。前夜のヤクルト・石川に続き、技巧派左腕にキバを折られた。
「バッティングコーチも対策を練っているんだけど、徹底してやれていない。手を出したらアカン球に手を出して。引っかけゴロ凡打が多いうちは、このピッチャーは打てない。力でねじ伏せられてるわけじゃないんだけど」。要所で打ち気をそらす誘い球に乗せられ、フルスイングを封じられたシーンの連鎖を将は深く嘆いた。
後半戦初の連敗。巨人とのゲーム差は3・5に開いた。「ただ、引きずってる時間はない。試合があるんでね」と思考回路を切り替えた和田監督。胸に渦巻く悔しさはグラウンドで晴らすしかない。白星をもぎ取る以外に、心の霧を払いのける方法はない。