能見に落とし穴 五回まで完全も…
「阪神1‐4DeNA」(27日、甲子園)
完ぺきな立ち上がりからゼロ行進を続けた。唯一の得点も自ら叩き出したもの。悔やまれたのは、32球を投じることとなった六回の1イニングだ。そこまでのスムーズな流れがあったからこその、まさかの展開。阪神・能見が、黒星を背負う結果となってしまった。
「(不運な当たりも)ヒットはヒットなんで」
一気に暗転する形となった。六回、先頭の宮崎に左前打を許す。この日初の被安打で初めて走者を背負うと、1死二塁から井出に同点の右前適時打を浴びた。なおも2死二、三塁からモーガンに二塁への適時内野安打で勝ち越され、続くブランコには詰まらせながらも中前に落ちる適時打で3点目を奪われた。
全てがクリーンヒットではなかった中での計5安打。手応えがあった中での敗戦。「(全体的に)コントロールは良かった。(スライダーも)良かったですね。コントロールも良かったので」。初回を3連続三振で抑えると、そこから五回まで一人の走者も許さない。パーフェクトピッチングだけでなく、バットでも意地は見せていた。
四回、無死満塁から坂と藤井彰が倒れて巡ってきた好機。2球目の直球を振り抜くと、打球は一、二塁間を破る先制の適時打となった。「ストレート一本で、狙いを絞って打ちにいきました。0‐0でゲームが進んでいたので、先に点が取れて良かったです」。今季7安打目は、11年の6安打を上回る年間自己最多となった。
孤軍奮闘で序盤からゲームを支配した働き。和田監督も「五回まで完ぺきだったけどね。六回だね。自分が打った1点だけだったから」と称えた。オールスターから中4日での先発。夏場の過酷な状況下で示された勝利への執念に、左腕を責めることはなかった。
「(自分に対して)ストレスはたまりますね」と能見。いつも最優先するのはチームの勝利。勝てなかったからこそ、悔しさはつのる。次回は8月2日からの巨人3連戦での先発が濃厚。この夜の思いを力に変え、伝統の一戦に挑む。