今成が適時三塁打「明日も勝つナリ!」

 「阪神8‐1中日」(30日、甲子園)

 チームも自らも、これ以上あとへ退(ひ)くことなどできない。「やられっぱなしは嫌なんで。悔しいし、何とか1本出したかった」。阪神・今成が臨んだ勝負の打席、そして執念が生んだ一打だ。

 1点リードの六回1死二、三塁。膝元へ鋭く曲がるスライダーに体が反応する。うまく捉えた打球は、切れることなく右翼フェンスを直撃。今成は両拳を握り、雄たけびを上げながら三塁ベースへと到達した。

 「もう1回打てと言われても、できるか分からない。こうやって打つというイメージじゃなく、とにかくバットに当てようという気持ちだった」。猛虎へ流れを引き寄せる2点三塁打。今成の咆哮(ほうこう)とともに、聖地のボルテージは最高潮に達した。

 卓越した打撃技術。和田監督をして「今成の持ち味。うまく(腕を)たたんで、体の回転で打ったから(打球が)切れなかった」と言わしめた。

 笑顔がはじける。この試合まで7月の月間打率は・417。ただ、好調な打撃とは裏腹に28日のDeNA戦でも右翼線の打球を落球(記録は二塁打)するなど、守備でのミスが続いた。

 翌日、雨が降りしきる甲子園の外野グラウンドで、ノックを受け続けた。「ミスした後だからこそ、やらなければ」。悔しさを胸に白球を追い続ける。「守備でチームに迷惑をかけていたので、勝ちにつながる打撃ができて良かった」。ひたむきな姿勢が、劇的な一打を引き寄せた。

 今成の一打は、ベンチの空気も変えた。この日、開幕からチームをけん引してきた西岡が左膝痛で登録抹消。「(西岡)剛さんがいない分、代わりになれるか分からないですけど、元気を出してチームを盛り上げたい」と今成は話した。

 そして、お立ち台の締め。「景気づけに一発行きます」とインタビュアーのマイクを奪い、「明日も勝つナリ!」と大絶叫。西岡のお株を奪うパフォーマンスで、大歓声に包まれる甲子園。取り戻した今成の笑顔が、猛虎の再進撃の旗印だ。

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