岩田快投!81日ぶり1軍で左腕復活

 「阪神0-1中日」(31日、甲子園)

 81日ぶりの1軍マウンドとなった阪神・岩田稔投手(29)が、8回を2安打1失点。気迫のピッチングを見せたが、打線が沈黙し、3安打で今季15度目の完封負けを喫した。開幕から3カ月連続で勝ち越してきたが、7月は勝率5割で終了。巨人が勝って首位と今季最大の6・5ゲーム差。左腕の復活を希望の光に、ここは踏ん張りどころだ。

 勝たせてやりたかった‐。“復肩劇”を見届けた4万5324人の虎党、誰もがそう思ったに違いない。岩田が8回を2安打1失点。81日ぶりに上がった1軍マウンドで、復活にかける気迫をほとばしらせた。

 闘志を前面に、力ずくで竜打線をねじ伏せていく。直球には球威があふれ、スライダーは面白いように曲がった。

 課題の立ち上がりを克服するため、試合直前にグラウンドにあるブルペンで投球練習を敢行。初回、先頭の藤井に四球こそ出したが、その後がこの日は違った。なりふり構わず、がむしゃらに、白星だけを目指して左腕を振るった。

 だからこそ、不用意な1球に無念が募る。四回まで1四球の無安打に抑え、迎えた五回。クラークに投じた2ボールからの3球目、高く浮いた直球を右翼席に運ばれる。これが結果的に両軍合わせて唯一の得点で、頭上には今季4つ目の黒星が浮かんだ。「試合はつくれたと思うが、あの1球が…」。唇をかみしめ、続く言葉をのみ込んだ。

 今季は春先から思うような投球ができず、5月11日のヤクルト戦では四回途中5失点KO。これを最後に表舞台から姿を消し、2軍での再調整を余儀なくされた。ウエスタンでも打ち込まれる試合が続いたが、「自分のやってきたことを変えるつもりはない」とかたくなに自己流に固執した。

 転機は7月。3日のウエスタン・中日戦で4回7失点を喫し、翌4日に平田2軍監督から「ゼロから始めてみてもいいんじゃないか」と声をかけられた。「これで思い切ることができた」と岩田。プロ入り以来、背負ってきた「プライド」という重荷を下ろし、裸一貫で再スタートを切った。

 9日の同ソフトバンク戦では初めてセットからの投球を試した。「イメージを変えました。(元巨人の)斎藤雅樹さんです」。体を横振りにする意識を持つことで体重移動がスムーズになり、体が開かなくなったという。「こんなに変われるなら全然大丈夫かな」。硬い殻を破り、生まれ変わった岩田がそこにいた。

 「しっかり投げてくれた。また次に期待したい」と和田監督。榎田が左肘の違和感で登録抹消となり、苦しい虎の台所に、頼りになる左腕が戻ってきた。岩田が確かな足取りで、新たな一歩を踏み出した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス