鳥谷2安打!主将よ頼むG3連倒打

 「阪神4-6中日」(1日、甲子園)

 前だけを見つめていた。クラブハウスへの階段を上っていく阪神・鳥谷の目は、宿敵との一戦だけを見据えていた。今季最大の7・5ゲーム差に広がった首位・巨人の背中。「もう勝しかないので、それに向けて頑張る」と昇り調子のキャプテンが語気を強める。

 この日も鳥谷のバットから貴重なヒットが生まれた。同点の三回、1死二塁で迎えた第2打席。先頭の大和が中前打で出塁し、二盗を決めた。しかし続く俊介は送りバントに失敗した末に空振り三振。チャンスを広げられず、流れは止まったかに見えた。

 それでも鳥谷が初球の変化球を鋭く振り抜いた。打球は痛烈に右前へ落ち、大和が快足を飛ばして生還した。勝ち越しとなる右前適時打で後半戦に入ってから8試合すべて安打を記録。2点を追う七回の第4打席では追い込まれながらも右前打を放った。

 水谷チーフ打撃コーチが「トリが良くなってきた。このまま上がっていってくれれば」と語るように、その存在感は苦しい夏場に向けて大きくなってきている。今季はなかなか狙い球を一振りで仕留めるケースが少なかった。「一振りで仕留めようとか考えてはないので」と言うものの、状態が上向いてきている確かな証だ。球宴明けは30打数12安打で打率・400。ただ本人は「良いときもあれば悪いときもあるので、そんなに」と厳しい表情を崩さない。

 2日からは敵地で巨人との3連戦。2敗した時点で阪神の自力優勝が消滅し、優勝へのマジックが点灯する。崖っぷちの状態に追い込まれ、投手陣の台所事情が苦しい中で求められるのは打線の奮起。水谷コーチは「3、4番が元気を出してくれんとな」と期待を寄せる。

 「先制点というか、どの場面でも得点できるように頑張ります」と力を込めた鳥谷。チーム状況は現実的に苦しい。それでもGを止められるのは、虎しかいない。

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