虎サヨナラ悪夢…自力V7日にも消滅
「広島1-0阪神」(6日、マツダ)
阪神が今季初のサヨナラ負けを喫した。好投していた先発のランディ・メッセンジャー投手(31)が九回、痛恨のけん制悪送球。ピンチを広げ、最後は丸にサヨナラ犠飛を許して力尽きた。打線は前田健に7回無得点。救援陣も打ち崩せず今季16度目の完封負けだ。巨人とは7・5差。早ければ7日にも自力優勝の可能性が消滅する。
眼前に広がる歓喜の輪。今季初めて目にする屈辱の光景だ。九回1死三塁、メッセンジャーが丸にサヨナラ犠飛を浴び、勝負は決した。
藤浪の初G倒などで直前の巨人戦を勝ち越し、その勢いに乗りたかった大事な一戦。だが、またしても広島のエース右腕に、もくろみは阻まれてしまった。
「立ち上がりにチャンスがあったけど、点が取れなかったからね」。和田監督の言葉には、いつにも増して悔しさがにじんだ。この試合まで今季対戦が1勝3敗、防御率0・31という難敵・前田健。だが序盤の投球は、いつもと様子が違った。
初回、簡単に2死を取るが鳥谷、マートンの連打で一、三塁の好機をつくる。ここは新井が空振り三振。さらに二回は先頭の今成、そして新井良の連打で無死一、二塁と攻め立てた。だが、打線が下位に向かう中で8番・藤井彰の打力に懸けたが、最悪の二塁併殺打で再び好機を逸した。
「コントロールが、いつもより散らばっていたからね…」と和田監督。普段の制球力が影を潜める右腕。得点機はつくり続けたが…。「マエケンはそこ(中盤)からの投手だから」。三回以降はわずか1安打。付け入るスキがあっただけに、悔しさもひとしおだ。
初回の好機で空振り三振に倒れた新井は「要所で、いい球が来ていた」と振り返る。制球が定まらない。走者も背負う。だが、得点は許さない。指揮官も「ウチの打線をマエケンが上回ったということ」と、潔く敗戦を認めるしかなかった。
前田健が残した爪痕なのか‐。七回で降板後、両チーム無得点の八回。2番手・横山から2死二塁の好機をつくり、鳥谷が左前打を放つ。だが、三塁コーチャーの吉竹作戦・守備走塁コーチは、二走・坂を三塁で止めた。
左翼・ルイスの肩を考えれば勝負に出る選択肢もあった。だが「回すにはタイミングが悪すぎた。あそこはオレの判断」と吉竹コーチ。本塁突入には微妙なタイミングだ。次は4番・マートン。そして1点勝負の試合終盤。判断の是非ではない。これが勝負の流れ‐。
今季初のサヨナラ負け。首位・巨人とは7・5差。7日にも自力優勝が消滅する。ただ目を移すべきは、そんな数字ではない。屈辱を力に変え猛虎の意地を見せる。残り51試合。先の戦いへ大事なことは、その1点のみだ。