関本が虎起こした!V打呼ぶ激走二塁打
「中日5‐6阪神」(10日、ナゴド)
試合がある限り勝利を目指す。飽くなき執念を体現した激走だった。延長十二回無死。阪神・関本が左翼線二塁打でヘッドスライディング。勝利の可能性が消滅するまで、あとアウト3つの土壇場で突破口を切り開き、鳥谷の決勝打に結びつけた。
延長十一回の守備から出場して迎えた初打席だった。直球2球で追い込まれ、迎えたカウント1ボール2ストライク。高橋聡が投じた真ん中高めの145キロを振り抜いた。短く持ったバットから放たれた打球が左翼線を転がる。迷わず一塁を蹴ると、二塁へ頭から飛び込んだ。
「気合や。(タイミングは)やばかったな。アウトになったら、どうしようかと思ったよ」
代走を送られると大歓声の中、三塁ベンチへ。上下のユニホームについた赤土を振り払おうともせず、興奮したままハイタッチ。今季初長打となった二塁打は、チームの士気を高める一打となった。
打線は三回以降に好機を逃して0行進を続け、九回無死一、二塁でも1点を奪えなかった。和田監督は「あそこでよく先頭で長打を打ってくれた。あの二塁打だね。大きな二塁打だったね」。引き分けも想定した展開で見せたベテランの勝負強さに感服した。
日々の準備がここ一番での勝負強さに結びつく。「いつも通りのこと」と話したが、この日の試合前は左腕の打撃投手が投げるスローボールを打ち返し、打撃を確認した。
今季は代打での出場ばかりで、スタメンは8月3日の巨人戦のわずか1試合だけ。5月には左ふくらはぎ痛で1軍を離れるアクシデントもあった。打率・233、0本塁打3打点と思うような結果を残せていない。
ただ、どんな状況でも目の前の戦いに全力を尽くしてきた。これからもいばらの道は続く。気持ちが折れそうになる時こそ関本は頼りになる。