“晋ちゃん”さまさま!9回0封8勝目
「中日0-1阪神」(11日、ナゴド)
君がいなかったら大変なことになっていた。まさに、しんちゃんさまさまですわ。阪神のドラフト1位・藤浪晋太郎投手(19)=大阪桐蔭=がプロ自己最長の9回を2安打無失点で、8勝目を挙げた。見事なドラ斬りで『セ5球団制覇』を達成。君の言う通り、最後まで諦めなければ何かが起こる、と信じたい。
プロ初完封とはならなかったが、スコアボードに刻んだゼロの数だけ新たな自信をつかんだ。「いつも完封を狙っている」という藤浪が、プロ入り初めて9イニングを投げきり、8勝目を挙げた。自己最多132球にも試合後、その表情に疲れの色は見られなかった。
「9回投げられたのは自信になります。今後もできるだけ長いイニングを投げたいです」
ベンチの期待が痛いほど伝わってきた。0‐0の七回2死一、二塁。藤浪は代打を送られず、そのまま打席へ。結果は空振り三振に終わったが、気持ちが奮い立った。
「チャンスで打席に立たせてもらったので、打てないのはセンスがないので仕方ないとして、ゲームを任せてもらっているという期待を裏切らないようにと思いました」
勝負どころを心得ている。八回、2死三塁のピンチに一気にギアを上げた。大島に150キロ前後の直球を連発。「全員に力を入れて投げていたらしんどいので、自分の持ってるものを最大限に出せるように投げました」。フルカウントからこの日最速の151キロ直球で二ゴロに打ち取った。
甲子園全国制覇を果たしたあの夏からもうすぐ1年。藤浪は母校・大阪桐蔭の戦いぶりをチェックしながら、高校野球全体にも目を向ける。当初は桐光学園・松井の投球を楽しみにしていたが、「松井は負けましたもんね。(注目投手は)安楽ですね」と済美の怪腕の登場を心待ちにする。
「でもまだ2年生ですからあんまり無理させてほしくないですね」。真夏の甲子園の過酷さを身をもって経験しているだけに、そう気遣った。
4日の巨人戦に続く快投だ。和田監督は「晋太郎に尽きるね。ヒット2本か。(9回)投げさせたくなる内容だった。前回の巨人戦から自信を持っているんじゃないかな」と手放しで褒めた。
セ・リーグ5球団からの勝利は、高卒新人では67年の江夏豊以来、46年ぶりの快挙だ。それでも藤浪は気を引き締め、反省の言葉も吐いた。「自分がバント失敗したり先頭の四球も4つ出して流れを悪くした。反省点はあるのでまだまだだと思います」
ペナントレースが進むにつれ本領を発揮する。可能性のある限り、優勝はあきらめない。首位巨人を追走するチームにとって夏男・藤浪の存在は頼もしい限りだ。