またマエケン…和田監督「恥ずかしい」
「阪神1‐2広島」(13日、京セラ)
顔も見たくない相手にまたもやられた。阪神打線が、広島・前田健の前に3安打1得点で今季4敗目(1勝)。天敵に余裕の完投勝ちを許した。今季6試合の対戦では、計45回でたった2得点。和田豊監督(50)は、同じ投手に何度も煮え湯を飲まされ、「プロとして恥ずかしい」と言うしかなかった。
何度同じ光景を見せられるのか‐。もはや虎党も、落胆のため息を漏らす力さえ残っていない。対峙(たいじ)するのは球界最高峰の投手。簡単に打てる相手ではない。それは分かっている。だが、それでも今度こそ…。その期待が高いほど、大きな虚無感に襲われる。
「やっぱり4回も5回も同じ相手にやられてね。プロとして恥ずかしいと思わないといけない」
屈辱など、疾(と)うに超えてしまっている。和田監督の言葉に、自軍へのもどかしさ、憤り、そして無残な試合を見せたファンへのざんげが込められていた。
広島先発・前田健とは6度目の対戦。そして、この試合までに奪った得点は鳥谷のソロによる1点のみと完全に封じられてきた。前回対戦(6日)に続き、マエケンとの対戦打率・625の今成を1番に起用。当然、対策は講じる。だが…。
1点を先制された直後の初回だ。その今成が四球で出塁し、1死二塁と好機を広げるも、鳥谷、マートンが凡退。さらに三回は、2死から今成が再び選んだ四球を足がかりに満塁の機会を得るが、またもマートンが一邪飛に倒れ得点できない。
「序盤に点を取らないと。調子が上がってきたら打てない」と水谷チーフ打撃コーチが振り返ったように、後はお決まりの展開が繰り返された。はびこる苦手意識は、携えた策も見失わせる。
「打撃コーチの方からも指示は出ているんだろうけど、徹底できていないというか…。今日なんか第1ストライクしかないんだけどね。そこに手が出ない。また打ちにいっても仕留められないという繰り返しだね」
和田監督が説明したように、第1ストライクを狙う指示が出され、六回の攻撃前に組まれた円陣でも水谷コーチが方針を確認した。だが、実を結んだのは九回に坂が放ったソロのみ。和田監督も「ちょっと遅かったな…」と悔しさをにじませるしかない状態だ。
2週連続で、好投の先発・メッセンジャーを見殺しに。その打線を和田監督は「早いうちに仕掛ける準備が足りない。マエケンに対しては積極性が足りない」と断じた。まだ戦いは続く。ただ、同じ姿を見せ続けるならば、目指す場所など遠く夢と消える。