鶴1141日ぶり先発星!ライアンに勝った

 「阪神1‐0ヤクルト」(17日、京セラ)

 阪神が虎の子の1点を守りきって3連勝だ。初回に先制点を奪うと、今季初先発の鶴直人投手(26)がエンジン全開。自己最長タイとなる7回を4安打無失点に抑え、ライアンに投げ勝った。八回は松田遼馬投手(19)、九回は福原忍投手(36)が無失点でしのいで完封リレー。鶴は1141日ぶりの先発勝利を飾った。

 無数のフラッシュが注がれる。肩を並べたお立ち台に実感がこもる。「手厳しい指導もあって良かったです」。胸に刻んだ無数の助言を思い返し、鶴が福原に笑顔を向けた。自己最長タイの7回を投げ、10年7月3日の巨人戦以来となる先発での白星。やっとの勝利に感謝の思いが尽きない。

 「(指導は)ここで言えないこともありますけど(笑)。いつも気にかけてもらって、ありがたいです。(先発での勝利は)重みが違いますね」

 中継ぎとは違う。鮮やかな真っさらのマウンドでスタートを切り、96球で歓喜を呼び込む。先発は11年10月24日の広島戦以来663日ぶり。臆することなく堂々と投げた。「後先考えずに全力でいこうと思いました」。3者凡退で初回を切り抜け、二回からは1点のリードを守る戦いに。逃げることなく攻めた。

 「(2軍では)力強さとかツーシームとか。技術的にも配球面もレベルアップしないといけなかったので」

 二回以降もゼロ行進を続け、七回は先頭のバレンティンに二塁打で出塁されながらも、後続を3人で仕留めて切り抜けた。2軍で練習を重ねたツーシームやフォークを存分に駆使しながらのピッチング。日焼けのあとは成長の証しであり、今年にかける思いの表れだった。

 プロ入り8年目、危機感はあった。オフにはカブス・藤川と自主トレを行った。キャンプに入ると、福原や安藤からアドバイスを受けた。細かな技術論や、叱咤(しった)激励。ブルペンや練習の合間はもちろん、時にはアルコールを流し込みながら。

 「今年やらないと、終わるぐらいの気持ちでやらんとあかんぞ」

 そう言って、福原から強く言葉を投げられたことも。今も忘れていない。「見返そうと思ってました」。恩返しはマウンドで示すと決めていた。八回に松田、九回に福原と回った勝利のバトン。1‐0の完封勝利は今季4度目で、スミ1完封は今季2度目だ。

 この日の結果次第では登録を抹消される可能性もあったが、ライアン小川に投げ勝ち、次回も1軍での登板が濃厚。「絶対優勝すると思っているので、もっと貢献していきたい」。強烈なアピールでつかみ取ったローテのイス。ここまでの道のりが苦しかったからこそ、簡単に譲る気はない。

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