和田監督「昨日までとはちょっと違う」
「阪神6-2ヤクルト」(18日、京セラ)
白星の連鎖が可能性を広げる。阪神が今季5度目の4連勝。ロード再出発前の京セラドームに響いた六甲おろしの大合唱。蒸し暑い真夏の夜に開いた一輪の花。巨人の優勝マジックが消滅し、タテジマに自力優勝の可能性が復活した。
猛虎打線復調の兆しが戦場に刻まれた。黄金ルーキーが初回に負った1点の傷。西岡、福留が戦列復帰を果たし、スコアボードに並んだベストオーダーが、すぐさま劣勢を優勢にベクトルの向きを変えた。
新井の同点弾が進軍ラッパとなった。二回、バックスクリーンを刺した14号ソロ。福留が右越え二塁打。関本が勝ち越し中前適時打。西岡が復帰後初打点となる右前適時打。四回に鳥谷が適時内野安打。七回には大和の右前打を起点とした連続押し出しで2点を奪った。絵になり、字になる戦士の奮起が、逆転星を呼び込んだ。
「これが2試合、3試合と続いて初めて、これでイケるなという感覚を持てる。本物だなと。今はやや上向きかけたところ。ただ、昨日までとはちょっと違うなという感触は持ってる」。打線の奮起を促し続けた虎将の表情筋は緩まない。点が線を描くまで、安心することなどできない。
2・5ゲーム差で始まった後半戦。一時は最大9差まで離されたが、わずか4日で2・5差を詰め、32まで減った宿敵の優勝マジックを消した。貯金は今季最多タイの14。12勝11敗と後半戦の貯金も生んだ。
19日から横浜、静岡、名古屋、東京と3カード連続の旅に出る。「月末に直接(対決)があるんでね。離されないように、少しでも(ゲーム差を)縮められるように頑張ってやっていきます」。和田監督が決意を新たにした。
自力優勝。この四文字の復活が、モチベーションをさらに高める一因になる。猛虎の今季を占う9試合。最後の最後に勝ち名乗りを受けるため、一戦必勝の精神で眼前の敵をなぎ倒す。