7‐0から…和田虎悪夢のサヨナラ負け
「DeNA9‐8阪神」(20日、横浜)
天国と地獄が交錯した。阪神は三回、一挙7点を奪う猛攻を見せた。これで決まったかと思いきや…先発のランディ・メッセンジャー投手(32)がめった打ちされ、逆転を許した。九回、安藤優也投手(35)が打たれ、今季2度目のサヨナラ負け。今季最多の貯金15はならず、再び自力優勝の可能性が消滅。巨人に優勝へのマジック30が点灯した。
痛い‐。痛すぎる1敗だ。歓喜のDeNAナインを横目に、ベンチ裏へ引き揚げるタテジマの戦士たち。今季2度目のサヨナラ負けで、巨人のマジック再点灯を許した。
聖地とは違う敵地の浜風が、そして、それ以上に強烈な天敵・DeNAという逆風が、猛虎の前に立ちはだかった。
「本来は、あの7点で勝たなければいけないが、それが野球。こういうことも起こり得る」
和田監督の言葉にも、疲労感が漂う。悔しさをにじませる、いつものトーンではない。それこそが、この敗戦の意味を物語っていた。
巨人の優勝マジックを消して臨んだ真夏のロード後半戦。その初戦、いきなり猛虎打線が爆発力を見せた。三回だ。鳥谷、新井、福留の適時二塁打など、7本の長短打を浴びせて7得点。DeNA先発・三浦を早々にKOした。勝てる!だが虎党の確信にも似た思いは、直後に暗転する。
「右翼に強い風が吹いていて、ちょっとそれを利用されたというか。右翼方向に狙い打ちされたという打撃だった」
指揮官が指す敵の猛攻は、7点を挙げた直後の三回裏に始まる。先発のメッセンジャーが、モーガン、後藤に、風に乗せたような右翼席への本塁打を浴びて3失点。そして差を詰められた猛虎が、今度は守りのミスで傷口を広げる。
四回、先頭の白崎が打った三塁へのゴロを坂がトンネル。この失策をきっかけに1点を失い、さらに1死三塁から梶谷がこれも右翼席への2ラン。先発・メッセンジャーが3回1/3、6失点でKOされた。
2番手・筒井も勢いを止められない。1死一塁からモーガンの左翼への飛球が、今度は風に押し戻される。左中間寄りに守っていたマートンが、スライディングでの捕球を試みるも後逸。一走・山崎の生還を許すなど、一気の逆転を許した。
「しょうもないエラーをしてしまった」と坂は視線を落とし、和田監督は「いつものメッセなら1つぐらいのエラーで動揺する感じではないが…」と苦悶(くもん)の表情を浮かべた。
同点後の七回無死一塁では代打・浅井が送りバント失敗。和田監督が「そういうところで進められなかったのが、響いた」と嘆くように、負の流れは断ち切れないまま。苦手のDeNAに、これで6勝9敗。試合後の浜風が、冷たく吹き付けた。