和田虎、初4番鳥谷&三塁西岡も4連敗
「阪神0‐3広島」(30日、甲子園)
甲子園が泣いている。阪神は8月1日以来、29日ぶりに戻った本拠地・甲子園で今季18度目の零敗を喫した。和田豊監督(50)は4番に鳥谷敬内野手(32)を初の4番に据えるなど、大胆なオーダー変更をしたが、全く機能しなかった。4連敗で、首位・巨人とは9ゲーム差。残り31試合、もう一度奮い立て!
涙雨が傷口に染みる。29日ぶりの聖地。タテジマが地に落ちた。止まらない負の連鎖。鳥谷をプロ初の4番に据えた和田監督の荒療治は不発に終わった。泥沼の4連敗。今季最大タイの9差。我が家に響く怒号。悲しみの帰還となった。
悪い流れを断ち切るべく、虎将がメスを握った。3番・マートン。4番・鳥谷。4月7日から4番を張り続けた打線の顔を入れ替えた。局面打開、必死の抵抗、窮余の一策…。すべては白星を奪うために判断した最善策だった。
「鳥谷の能力からすればもっとできる。つなぎに徹するところがあるので、今度は(走者を)かえすところで。できる選手なんでね」と和田監督。しかし、勝負とは皮肉なものだ。今季18度目の完封負け。組み替えは即効性を示さなかった。
もがれた翼。魂まで抜き取られたように映った。4安打零封。今季初対戦の広島・野村の術中にハマった。芯を外された鈍い音が続く。五回には円陣を組んだ。だが…。猛虎の金看板に背く力ない打球が、無情にもアウトを積み上げた。
ミスは連鎖した。二回、左線に落ちた打球。深めの守備位置から、マートンは懸命に前進した。だが、落下点から、捕球‐送球に移行する動きは遅かった。走行距離、滞空時間を加味し、二塁打と判断した動きだったが、キラは一、二塁間で止まっていた。素早く動いていれば刺せていた。
犠打を挟んだ左前適時打から、今度はプロ初の三塁に就いた西岡が、木村のセーフティーバントを捕球後に転倒した。四球後、野村の右前適時打を今成がファンブル。本拠地にあるまじき守備のほころびが、次々と失点に絡んだ。
和田監督はマートンを責めなかった。「決して怠ったプレーではない。(走者が)止まったんでね。最初からいけば、際どいプレーになってた」。ただ、敗北が許されない状況下で、ワンプレーが命取りになってしまうのは必然の流れなのか。
崩れゆく猛虎。いつ止まるとも知れぬ負の連鎖。濁流にあらがい、蘇生せよ‐。残り31試合。もう、こんな姿は見たくない。不屈のチャレンジャー精神。苦境に活路を切り開け。