鳥谷が先制4番打!新打線つながった
「阪神2‐1広島」(31日、甲子園)
負の連鎖を止めた。攻撃的な阪神・鳥谷が連敗を止めた。初球を果敢に振っていった4番‐。目の覚めるような痛烈な打球が三遊間を破ると、西岡が二塁から快足を飛ばして先取点をもぎとった。これまでのイメージをガラリと変える一打に、目を細めたのは第94代4番を託した和田監督だ。
「初回の4番の先制打、進塁打も4番の進塁打だった。ハードなスイングをして、内容的にも強さが出てきた」。こう評したのは初回の第1打席、バリントンが投じた初球、外角144キロの直球をフルスイングではじき返した打席。痛烈な打球は三塁・木村の横を抜けて左前へ。4番として初打点となるタイムリーで貴重な先制点を奪った。積極果敢な姿勢はこれで終わらなかった。
四回無死二塁で迎えた第2打席も初球をフルスイングで引っ張った。痛烈な一ゴロはキラの一塁ミットに収まったが、二塁走者のマートンを三塁へ進め、新井の決勝犠飛へつなげた。六回の第3打席も初球を打ち、本人は「3打席とも甘いボールが来たんで」と冷静に振り返る。
今季、鳥谷が初球から打ちに行く機会は少なかった。試合開始前のデータでは、全419打数のうち、59打数しか初球打ちがない。投球数別の打撃成績でも5番目の少なさで、逆にマートンは初球打ちが2番目に多い。他の選手と比較しても比率は非常に少ない。
リーグ2位の78四球が示すように、深いカウントへ持ち込んで勝負するケースが多かった。「つなぎに徹するところがあるので、今度は(走者を)かえすところでね」と起用の理由を説明していた指揮官。つなぎの4番ではなく、走者をかえす4番‐。積極果敢に、思い切って強くバットを振る。そんな姿を首脳陣は求めていた。
水谷チーフ打撃コーチも「初球から振ったら相手も嫌なもんよ。これでいいんじゃないか」と評価する。「とりあえず勝てて良かった」と胸をなでおろした鳥谷。確かな変化を示した3打席。攻撃的な4番の姿が相手を威圧し、そしてチームにも勢いを生む。