桧山誓った『神の一打』で“谷繁撃ち”
頭脳戦に勝利して『神の一打』を見せる!今季限りでの現役引退を発表した阪神・桧山進次郎外野手(44)が9日、10日からの中日3連戦(甲子園)で、竜の司令塔・谷繁元信捕手(42)との“対戦”を制することを誓った。長くしのぎを削った名捕手のリードを上回り、虎党に魂の打撃を見せる構えだ。
レギュラーシーズンも残り23試合。聖地に映える背番号「24」を虎党が目の当たりにできる時間は、あとわずかとなった。ただ桧山自身がプロ人生を振り返るには、まだ早い。強敵を前に気持ちが高ぶる。それがタテジマをまとい22年間戦い続けた、勝負師の本能だ。
竜の投手陣と幾度も重ねた死闘の記憶が、脳裏をよぎる。だが、桧山が“対戦”を熱望した選手は、中日が誇る好投手たちではなかった。
「(川上)憲伸とか岩瀬とかが出てくるかもしれないけど、あそこには谷繁という名捕手がいるから。どちらかというと、そっちの方が楽しみ」
竜の司令塔であり、球界随一の名捕手。谷繁の巧みなリード、そして桧山の一流の読み。大洋・横浜(現DeNA)を経て中日へ移り長年活躍を続けてきた谷繁は同一リーグでしのぎを削ってきた好敵手だ。
“代打の神様”と言われる桧山にとって、自身が任せられる場は試合終盤の勝負どころ。だからこそ、ファンは桧山の一打に魅せられ、余韻に酔う。それも谷繁ら名選手との勝負の中で生まれるからこそ『神の一打』は大きな価値を持つ。
全身を走る緊張感。桧山が求めているのは、それだ。「真剣勝負の中で、楽しみながら、何とか打ち崩したい」。それこそがプロとしての喜びでもある。さらに、自身の最後の目標に向け、負けられない戦いでもある。
7日の引退会見では「『忘れ物』を取りにいってない。可能性がある限り、全力を尽くしてやらないといけない」と話した桧山。忘れ物‐それは、まだ一度も味わうことができていない、「日本一」という名の頂だ。
CS圏内を狙い、死にもの狂いで勝利をつかみに来る中日。その相手に対し、猛虎も先に待つ戦いもにらみ、1つの星であっても譲れない。好敵手・谷繁と、引退表明後初となる至高の対決。その末に見せる桧山の22年を凝縮した『神の一打』が、虎党の前でまばゆい輝きを放つ。