藤浪、真っ向勝負でバレ新記録阻止も…
「ヤクルト2-0阪神」(14日、神宮)
阪神・藤浪の背中に気迫が満ちていた。強大な相手への真っ向勝負。神宮の杜をため息で覆わせるほどの快投。進化を続ける姿は示した。それだけに、自らのミスで喫した敗戦が悔やみきれない。
7回1/3を5安打2失点で6敗目。「自分の小さなミスから失点をしてしまったのが痛かった…」。
マートンの本塁突入により、乱闘寸前の騒ぎがあった直後の六回裏だ。異様な空気が残る中、1死から三輪に右前打を許すと、盗塁と自身の暴投で三進。そして、川端の高いバウンドの遊ゴロで先制点を献上した。
藤浪は「それ(騒ぎ)は関係なかった」と話す。だが、流れの中で生まれたエアポケットに入ったかのような失点。それは、七回にも起こる。
1死一塁から、藤浪がけん制悪送球。ボールがファウルグラウンドを転々としている間に、一走・西田が三塁を陥れる。さらに外角へ外した球で、森岡にスクイズを決められ、大きな2点目を失う結果となった。
心のスキが生んだ失点なのか…。そこまでは中西投手コーチをして「カーブをいつもより多く、うまく使っていた。幅広い投球ができていた」と言わしめる投球内容だっただけに、悔いは残る。
本塁打のシーズン日本新記録を狙うバレンティンとの勝負でも、存在感を示していた。「自分の投球はできた」。二回の第1打席は空振り三振。四回は右前打を許すが、六回の対戦では150キロの直球でねじ伏せ、三飛に打ち取っていた。
登板前は「(対戦は)気にしていない」と話していた藤浪。だが、大歓声に包まれての勝負を経て「なかなか経験できることではない。そういう緊張感の中でやれて良かった」と話した。
“鬼門”の神宮 ただ、最も欲していた勝利だけが得られなかった。神宮球場は3戦3敗。和田監督が「藤浪らしい、どちらかと言うと良い方だった」という内容でも“鬼門”は破れない。ただ、まだ大事な戦いは残っている。敗戦を糧に、前へ進むだけだ。