虎サヨナラ負け…甲子園CS大丈夫?

 「広島2‐1阪神」(17日、マツダ)

 2位・阪神は3位・広島に無残なサヨナラ負けを喫した。3連敗。最大17を数えた貯金は7にまで減った。CS前哨戦となった3連戦の初戦完敗で、広島とのゲーム差も「5」に。毎度の得点力不足…。万が一、CSファーストSの甲子園開催を逃すようなことがあったら、「ごめんなさい」では済まされない。

 待っていたのは凄惨(せいさん)な結末だった。CS前哨戦とも位置づけられる、3位・広島との3連戦。絶対に負けられない。だが、その思いを打ち砕く一撃が、低い弾道でスタンドへと真っすぐ突き刺さった。

 同点の九回だ。八回から登板の2番手・久保が、石原へ投じた初球。何かに魅入られるように真ん中に入っていく直球を、左翼席へ運ばれた。今季5度目のサヨナラ負け。和田監督は早々とベンチ裏へ下がり、久保は肩を落として歩く。その背後に赤ヘル軍団の歓喜の輪が…。残酷なコントラストは、両者の置かれた立場を浮き彫りにした。

 「選手は、この試合に臨むにあたって、相当に気合が入っていた。締まった試合にはなっていたんだけどな…」

 臨んだ気持ちの強さは、そのまま大きな失望感へ変わる。和田監督の言葉にも、敗戦の悔しさから生まれる反発力の強さはあまり感じられず、思うに任せない、もどかしさがにじんでいた。

 マートンを9試合ぶりの3番に据え、打線を組み替えて挑んだ一戦。西岡、マートンと2人の3割打者を上位に置き「走者をためて、クリーンアップという形をつくりたいんだけどな」と指揮官は狙いを説明した。だが、相手先発・大竹の前にもくろみは崩れ去る。

 序盤に併殺打と三振ゲッツー、三回から3イニングは走者すら出せず。1点を追う六回1死二、三塁から、西岡の二ゴロの間に1点を奪うのがやっとという状態だった。

 「大竹が1つ上回った。1点ではしんどいな。やっぱり打線の援護…そこだけだと思う」

 好投手との対戦であれば、得点を奪うのが困難なのは当然。だが、CSや日本シリーズといった大舞台を望めば、このまま引き下がることなどできるはずはない。

 最大17あった貯金は、1カ月足らずで7に減った。3位・広島とは5差。現状を打破できなければ、甲子園でのCS開催さえ危ぶまれる。18日以降も野村、バリントンが登板。何とか広島を止めたい。ここが正念場だ。

 「昨日、おとといとは気持ちの入り方が違うのが試合で出ていた。今日は今日。また明日行きます」。CSファーストSまで残り1カ月を切ったが、失った勢いを取り戻すには十分な時間だ。「今年のタイガースは違うという姿を見せたい」。和田監督が繰り返してきたフレーズ。その姿を見せるのは、今この時しかない。

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