西岡「あがいた」八回気迫の同点打
「阪神7‐7ヤクルト」(21日、甲子園)
負けた瞬間にV逸が決まる阪神は延長12回を戦って7‐7で引き分けた。巨人もナイターの広島戦で引き分け以上なら優勝を決められたが、4‐7で敗れたため、巨人のリーグ優勝は22日以降に持ち越しとなった。阪神は1点ビハインドの八回に西岡剛内野手(29)が同点の適時二塁打を放った。
西岡を突き動かしたのは「執念」だった。中盤までに最大5点差。敗色ムード漂う阪神ベンチを、虎のリードオフマンがよみがえらせた。
五回に鳥谷の適時打などで、反撃の足掛かりをつくって迎えた六回だ。2死から柴田が8球粘り出塁。すると、カウント3‐1から2番手・松岡の高め直球を捉えて、しぶとく一、二塁間を破った。その打球を右翼・三輪が後逸する間に、二塁を陥れ好機を拡大。坂の2点適時打を呼び込んだ。
宿敵のリーグ優勝は濃厚だ。だからといって、簡単に達成させるほどお人よしではない。
「負けて(巨人の)優勝が(その瞬間)決まるのはみんな知っていた。最後の執念というわけではないけど、あがいたといった感じです」
あきらめない姿勢こそが、今の阪神に最も必要なものだと、西岡は分かっている。六回の守備では、相川の二遊間へのゴロに体を投げ出し、飛び込んだ。転がりながらも一塁へ送球し、アウトにした。1球への執念を身をていして示した。
四回、自らの失策がきっかけとなり、5点を失った。先発・藤浪の足を引っ張ったことを悔やんだ。「投手に申し訳ないことをした。何とか取り返そうという気持ちで打席に入った」
1点差まで迫った八回。2死一塁から5番手・山本哲の148キロ直球をはじき返した。鋭い打球が右中間で弾むと、柴田を本塁へ迎え入れた。試合を振り出しに戻す同点打。自らも外野の隙をついて、二塁を奪った。常に先を狙う好走塁で、相手にプレッシャーをかけ続けた。
延長十二回。柴田に「自分で決めるぐらいの気持ちでいけ」と気合を注入した。結果はドローに終わったが、5時間を超える試合の中で見せた、西岡の気迫はこれからの戦いにつながる。
あえて「あがいた」と形容した一戦。短期決戦では、その「あがき」こそが勝敗を分けることになる。背番号7が見せた意地。それが、猛虎の武器となる。