終戦…和田虎「東京Dでもう1回勝負」
「阪神6-7ヤクルト」(22日、甲子園)
最大の目標が消滅した。阪神がヤクルトに敗れ、巨人のリーグ優勝が決定。チームは8年連続でV逸。9月は4勝12敗2分けとなり、今季初の月間負け越しも決まった。和田豊監督(51)は「もう1回東京ドームに行って、もう1回勝負する」と宣言。この悔しさは、CSファイナルSでのG倒で晴らす。
太陽が西の空に沈んだ午後6時3分、8年ぶりのリーグ制覇を狙った猛虎の希望が消えた。タテジマの意地と抵抗の結晶は、敗戦がすべてを無残に打ち砕いた。12試合を残しての終戦。もの悲しさが漂う聖地を秋風が吹き抜けた。
時間の問題。厳しい戦いだと理解していた。だが、実際にV逸の現実に接すると、心の奥底から悔しさが込み上げる。最終打者・鳥谷が見逃し三振に倒れると、和田監督は充血した瞳を宙にさまよわせ、視線を地に落とした。唯一無二の目標を失った敗者の顔だった。
低迷を極める現状を映し出す敗北だった。福留の2点適時二塁打で同点とした六回、無死二塁。新井良には犠打ではなく、進塁打を視野に入れた強攻策を指示したが、空振り三振。続く柴田の二直で福留が帰塁できず併殺。一気の勝ち越し機を逃し、直後に4失点。必然に近い流れだった。
「振り返ると、あそこで主導権を握れなかったというところだと思う」。和田監督が苦虫をかみつぶした。「こっちも勝負に出たんで」。策に悔いはなくても、結果で示せなければ、ベンチの采配ミスと受け取られても仕方がない。
6月に2度首位に立ちながら、栄冠をつかめず、宿敵の軍門に下った。「力の差というか、8月の月末の東京ドームでの3連戦がポイントだった。あそこで3タテ食らった後が、ふがいない戦いが続いてるんでね。そこら辺だろうね」。5差で臨んだ8月27日からの3連戦で3連敗を喫した。そこを起点とした7カード連続の負け越し。軸と方向性を失ったチームを立て直せなかった点を敗因に挙げた。
夢は消えた。でも、次のステップがある。「悔しいけど、前に進むしかない。絶対にズルズルいってはいけない。我々としては、もう1回東京ドームに行って、もう1回勝負する。ここからはそれしかない。そういう気持ちでやっていきます」と虎将は思考回路を切り替えた。
選手個々の状態を上げながら、2位を守り抜き、本拠地で戦うファーストSを制して、敵地に乗り込む。決して消化試合ではない12番勝負。ここからが新たに、監督の手腕が問われる時だ。