メッセ今季3度目完封 虎助っ投45年ぶり
「阪神2‐0ヤクルト」(23日、甲子園)
ここから出直す。阪神のランディ・メッセンジャー投手(32)が今季3度目となる完封勝利。これで3位以内が確定し、3年ぶり4度目のクライマックスシリーズ(CS)進出が決まった。阪神外国人投手のシーズン3完封は1968年のバッキー以来、45年ぶり。チームの連続カード負け越しも7で止まった。CSへ向けて、和田阪神が再スタートを切った。
遠かった勝利。だが自分の力を信じ、貫き、道を切り開いた。「絶対に連敗を止めたかった。とても気持ちがいい」。メッセンジャーがお立ち台で見せた柔和な顔に、達成感の大きさが表れた。
非の打ちどころがない投球だ。150キロを超える直球、そして緩いカーブを巧みに制球し、燕打線を寄せ付けない。四回に初安打を許し、2死二塁の危機も難なく後続を断った。走者を得点圏に置いたのは、この1度だけ。
圧巻は、58本塁打のバレンティンとの勝負。「ああいう打者は、かわしていこうとすると必ず失投を捉えられる」と攻めの投球を選択。3打席の対戦で投じた11球中、変化球は2球だけ。「攻めて攻めて、攻め続けた」と力勝負でねじ伏せた。
9回3安打で、今季3度目の完封劇。ただ、和田監督が「ずっと好投していたのに、勝ちを付けてやれなかったから」と話すように、手にした勝利は8月25日の中日戦(ナゴヤドーム)以来と、約1カ月ぶりとなった。
好投も援護がなく勝てない日々。その中で「自分の投球を続けていけば、いつか勝ち星がついてくると思っていた」と調子を維持し続けた。この日の援護点も、わずか2点。それでも「1点あれば十分だと思っていた。2点は大きかったよ」と豪快に言ってみせる。
9月は4試合に登板して防御率0・29。「試合前、リリーフのみんなに『今日はお休みだから』と伝えていた。その通りになって良かったよ」。耐え忍んできた先に、大きな自信を手に入れた。
リーグトップの奪三振を171に伸ばし、タイトルも射程圏。ただ「個人的な達成感は得られるが、チームとして勝たないと」。昨季も9月は3勝1敗の好成績。CSを勝ち抜き頂点を目指す猛虎にとって、頼もしい数字だ。
そこに、偉大なメジャーリーガーの教えがある。「ベテラン選手から『シーズンをどう終わるか。そこで印象づけられるかが大事だ』と教わった」。トッド・ジョーンズ、アル・ライター、A.J.バーネット。プレーオフを勝ち抜き、ワールドシリーズ出場の経験を持つ選手からの薫陶が、今に生きている。
快投でCS進出を決めた右腕だが、それが目標ではない。「CSも優勝(日本一)へ向けて、頑張っていきたい」。猛虎が果たす下克上に、その力は欠かせない。